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物流業界ニュース

交通政策審議会環境部会が物流4社に温暖化対策をヒアリング

佐川急便は輸送量を増やしながら3年間でCO2排出量を3%削減

JR貨物は伊藤社長自らがシフトの受皿としての対策と課題に言及

運輸部門における地球温暖化対策の見直しを検討している交通政策審議会交通体系分科会環境部会(部会長=佐和隆光・立命館大学教授)は9日、陸海空の運輸・物流業者4社(佐川急便、JR貨物、商船三井フェリー、日本航空インターナショナル)から地球温暖化対策の取組みについてヒアリングを行った。

この中で佐川急便は、CNGトラックの大量導入を柱とした温暖化対策により、05年度のCO2総排出量を02年度比で3.11%削減したことを明らかにするとともに、スーパーレールカーゴによる鉄道へのモーダルシフトやSRC(佐川流通センター)を活用した物流効率化、配送車両を持たないサービスセンターの設置促進、エコ安全ドライブの推進など、同社のCO2削減対策を詳細に説明した。また、JR貨物は伊藤直彦社長自ら出席し、列車の長編成化やITによる効率化などで政府が要請する2010年度に217億トンキロという鉄道コンテナ輸送量の達成は可能であるとの見通しを述べるとともに、「規制緩和により、トラック事業者数は4万社から6万社を超えるまで増えたが、一方で過当競争が進み社会保険料を払えない業者も相当数いると聞く。運賃のダンピングも進み大半の中小事業者は鉄道や海上へのシフトをしたくてもできない状態だ。温暖化対策の観点からも、何らかの社会的規制の手当てが必要だ」と提言した。

●計画を上回るペースでCO2排出削減を達成=佐川急便

佐川急便からは、松本秀一環境推進担当部長が出席。同社は03年に世界最大の環境NGOであるWWF(世界自然保護基金)が主催する「クライメート・セイバース・プログラム」に物流企業として世界で初めて参加、2012年度までにCO2総排出量を02年度比で6%削減することを公約した。取組みの柱となっているのがCNGトラックの導入で、2012年度までに約7000台を導入する計画(今年1月末時点での累計導入台数は3251台)。このほか、配送車両の小型化や車両を持たない営業所(サービスセンター)の設置、エコドライブなどにより、05年度のCO2総排出量を02年度対比で3.11%削減した。松本氏は「クライメート・セイバース・プログラムは、排出量の絶対値ベースでの公約であり、企業として成長を続けながらCO2排出量を減らすことになる。実際、当社の宅配便取扱個数は02年度の8億7800万個から05年度は9億9800万個まで増えており、当然、車両台数や輸送距離も増える。仮に原単位ベースで換算すれば15%の削減を達成したことになる」と説明した。また、「現時点では、計画を上回るペースで排出削減が進んでいる」とした。

鉄道、フェリーへのモーダルシフトについては、05年度実績で約7.5万トン(鉄道約5.8万トン、フェリー約1.7万トン)のCO2削減を達成したと報告。このうち、東京〜大阪間で運行しているスーパーレールカーゴによる削減効果は、年間1万2000トン、10トン車換算で年間1万6000台に相当すると説明。ただ、モーダルシフト化率については「全体の輸送量が増えていることもあり、ここ数年2.5%程度にとどまっていることが課題」(松本氏)と述べた。

さらに、佐川流通センター(SRC)での物流業務の一括受託による横持ち輸送の削減、ハブセンターの設置による交錯輸送の削減など、物流効率化策を通じた環境負荷軽減策を紹介したほか、大都市部を中心に車両を持たないサービスセンターの設置(現在約130ヵ所)を進めることで、「政策的な増車回避に効果を上げているほか、交通渋滞の解消、駐車場所を探すための走行などを低減している」(同)とした。

また、行政サイドへの要望として、(1)CNG車の価格が高い(2)スタンドが少ない(全国で約310ヵ所)(3)街中にトラック用の駐車場が少ない(4)古いビルは天井が低く車が入れない――などの課題を挙げた。

●政府が求めるコンテナ輸送量の達成は可能=JR貨物

JR貨物の伊藤社長は、冒頭、鉄道輸送の特性を説明した上で、陸上輸送における距離帯別の輸送機関分担率のグラフを示して、「501キロから1000キロでは重量ベースで鉄道が7%、トラックが93%という比率だが、個人的には鉄道がその3〜4倍は運ぶべきだと思う。1001キロ以上では鉄道の比率は34%だが、半分はあってもいいのではないか」と述べた。また、鉄道コンテナ輸送量の見通しについては、06年度から2010年度まで毎年1.8%の増送を行うことで、2010年度に217億トンキロの達成という目標(05年度実績は199億トンキロ)は「十分に可能であり、それを上回るよう努力していきたい」(伊藤社長)とした。

輸送枠の有効活用策として「IT−FRENDS&TRACEシステム」による輸送枠の自動調整機能についても触れ、「なるべく早く着地に貨物を送りたいというのは荷主さんの本能だが、これまでは必ずしも急ぐ必要のない貨物が平日の売筋列車に混ざることで、運ぶべき貨物の枠がとれない状況があった。これをITを活用して急がない貨物を土・日列車で運ぶようにすることで、平日の新たな需要に対して輸送枠を提供できるようになってきている。土曜日の列車も以前はコンテナ搭載が半分程度だったが、システム稼働後は3分の2から4分の3程度、埋まるようになってきた」(同)と説明した。

今後の課題としては、安定輸送の確立を強調。国鉄から継承した老朽車両を多数保有している面に触れつつ「昨年186件あった機関車故障を当面、半減させていく。モーダルシフトの担い手として最重要課題として取組んでいく」(同)とした。さらに、主要幹線の輸送力増強工事や貨物駅の近代化などについては、諸外国の支援事例を紹介しつつ政府の支援の必要性を訴えた。

部会メンバーとの質疑応答の中で、長距離トラックのドライバー不足や高齢化の問題について伊藤社長は、「規制緩和が必ずしも悪いわけではないが、4万社だったトラック事業者数は規制緩和後に急増して、現在は6万社を超えている。その結果、過当競争による運賃ダンピングが進み、社会保険料を支払わない事業者が相当数あると聞いているし、重大事故も多発している。こうした状況下で特に中小事業者は、鉄道や海運にモーダルシフトを進めたくてもできない状態にある。地球温暖化対策という面からも、何らかの社会規制的な手当てが必要ではないか」との見解を示した。また、将来的な鉄道ネットワークの維持についての質問については、「整備新幹線の建設によって在来線ルートが切断されることを最も懸念している。在来線を安定的に保持していく方策を国や政府にお願いしたい」と述べた。

●商船三井フェリー、JALも取組みを説明

このほか、商船三井フェリーは畑中慎介営業調査室長が出席し、運航時間の調整による燃料消費量の削減などの取組みを紹介するとともに、フェリーやRORO船へのモーダルシフトが進まない理由として、(1)リードタイム(2)燃油価格(C重油)の高騰などを挙げた。また、日本航空インターナショナルは吉田修地球環境部長が出席し、CO2排出量の少ない新型機材の導入など同社の対策について説明した。

カーゴニュース2月15日号

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