物流業界ニュース
荷主企業の経営統合や合併、包括的な提携の中で物流も再編の波へ
物流子会社もM&A、業界再編の波にもまれ統合や消滅も…
ここ数年、産業界では企業の経営統合や合併などが相次いでおり、その目的のひとつとして物流合理化による競争力の強化があげられている。
経営統合の場合、新たに持株会社を設立して、その傘下に複数の事業会社を置く形が多くなっており、その場合、個別に行っていた物流業務を持株会社に集約する形が多く、さらには物流子会社も統合・一本化される事例が出てきている。
大丸、松坂屋の共同持株会社「J・フロントリテイリング(JFR)」設立でも、「施設・物流・用度品の発注・購買では競合の徹底導入、発注量拡大による折衝力強化、仕様見直し等による発注単価低減」がうたわれており、規模拡大による仕入れ力の強化や配送などの物流の共同化によるコスト削減効果も期待されている。
最近の事例をみていくと…。
●M&Aや再編続く…
食品業界や医薬品業界など、再編の波は次々に大きくなってきているようだ。
7月にキリンホールディングス入りしたメルシャンは、キリンビールとのカテゴリー別の酒類事業の相互移管と生産・物流・研究部門での提携もスタート。これに合わせて社内カンパニー制を廃止すると同時に、沖縄のデポも廃止するなど、ワイン中心のシンプルな組織を目指していく。生産SCM本部は生産統括部、SCM統括部、品質管理部で構成。調達部門を含めて、原料の調達から生産、販売物流までを“一気通貫”で管理する体制を整えた。ホールディングス全体の最適化のために、社内カンパニー制を廃止するとともにワインなど多品種小ロット品はメルシャン、それ以外の大ロット物流は基本的にキリンビールという形で商品別に物流管理を行う体制に改めた。これによって、それまでメルシャンが扱っていたRTD(酎ハイなど缶製品)和酒、洋酒はキリンビールが、キリンが扱っていた輸入ワインと和・洋酒はメルシャンのルートで流れる。新しい体制に合わせメルシャンではデポの統廃合も行い、それまで沖縄支店内の倉庫に置いていたデポを廃止した。
味の素とヤマキは3月に資本・業務提携、味の素がヤマキの発行済み株式の33.4%を第三者割当増資で取得、持分法適用会社とした。業務提携に伴い、和風調味料分野における知的財産・ノウハウの相互供与のほか、原材料の共同購買や物流の共同配送などの幅広い分野でのコスト削減を進めていく。また、味の素はカルピスを10月1日付で株式交換により完全子会社にする。
また、日清食品は明星食品を連結子会社化したが、今後、物流面での効率化なども検討していく。
このほか、医薬品業界でも業界再編に伴う物流統合が進んでいる。
卸・日用雑貨の大手卸が経営統合して05年10月に発足したメディセオ・パルタックグループでは、事業持株会社である「メディセオ・パルタックホールディングス」が各事業会社の仕入れ・物流業務を集約・統合することで物流効率化に大きな効果を上げている。経営統合前の各社は、それぞれ個別に管理・仕入れ・物流・販売(営業)などの業務を行っていたが、事業持株会社に管理や仕入れ・物流機能を統合することで、営業活動に特化できる体制となった。また、仕入れや物流業務を一元化することで、大量仕入れによるコストダウンや、重複する納品先への物流共同化などが実現し、合理化に伴う収益拡大などを実現している。
●物流子会社も再編の波にもまれ…
こうしたM&Aの進展にともない、物流子会社も再編の波に洗われている。
第一三共は今年4月1日の三共と第一製薬の完全統合に合わせ、物流子会社を再編した。それまで第一製薬の物流子会社だった第一物流の社名を「第一三共ロジスティクス」に変更し、国内における医薬品物流機能を同社に集約した。第一三共は、05年9月に「第一三共」を設立し、経営統合を進めてきたが、今年4月に第一三共が三共と第一製薬を吸収合併して経営を完全統合。物流子会社の再編もその一環として行われたもので、第一製薬の100%子会社だった第一物流を母体に物流機能を集約した。
日本製紙グループも今年4月、日本製紙物流を存続会社に、大昭和ロジスティクスと日本板紙物流の3社を統合した。日本製紙がこれまで事業別・地域別に進めてきた物流合理化を、グループ全体最適の実現のために、事業・地域の枠を越えてグループ全体で進めていくことが目的。3社の統合により、大昭和ロジスティクスと日本板紙物流の企画管理部門が日本製紙物流に集約され、工場からの輸送のみならず消費地における物流までを集中管理・合理化できる体制づくりが進んだ。今後は、日本大昭和板紙、日本紙通商、日本製紙クレシア、日本紙パックなどグループ会社と順次、物流業務に関して集中管理を進めていく。
健康食品や医薬品などのインターネット通販を手掛けるケンコーコムは小林製薬の子会社コバショーと提携して関東物流センターを開設した。当初の提携内容は(1)3社で新センターを稼働させるためのプロジェクトを発足する(2)ケンコーコムが新物流センターで取り扱う商品についてコバショーから仕入れる(3)新センターにおける物流業務は青い鳥物流に委託する―の3点だったが、07年4月には青い鳥物流とコバショウが合併し、青い鳥物流は消滅した。この吸収合併は4月1日だったが、1月には、青い鳥物流の製品物流部・医療器物流部を新設すると同時に分割し、小林製薬の100%子会社として「小林製薬物流」が設立されたが、青い鳥物流は合併後にコバショウに新設された物流本部となった。
カーゴニュース9月11日号





