物流業界ニュース
東京港、川崎港、横浜港の京浜三港が実質一港化目指し、「京浜港共同ビジョン」
11年度には各港の港湾計画の基本となる「京浜港の総合的な計画」策定へ
東京港、川崎港、横浜港の京浜三港が実質一港化に向けた取り組みを本格化している。京浜三港は08年3月に「京浜三港の広域連携強化に係わる基本合意」を結んだ。この基本合意はアジア諸港の躍進によって日本港湾の国際的地位が低下していく状況の中、東京港、川崎港、横浜港の京浜三港が世界の基幹航路から外されるという危機感から締結された。
この合意に基づき、今後の京浜港の実質一港化に向けた港湾経営と港湾整備の指針を示すものとして、10日には「京浜港共同ビジョン」が策定された。「京浜港共同ビジョン」で示した方向性をもとに現在、各港の港湾計画の基本となる「京浜港の総合的な計画」の策定を進めている。
●外航各社が基幹航路で寄港地の絞り込み、国内港湾のフィーダーポート化も
現在、各船社はコスト削減と運航効率向上などを目的に各基幹航路で大型船の投入と寄港地の絞り込みを進めている。特に近年は国内製造拠点の海外移転やアジア地域の経済発展にともない、世界の工場となったアジア地域から最終消費地である欧米諸国へのダイレクト輸送が増えている。その結果、アジア〜米国間(北米航路・東航)の貨物シェアは97年には日本発が約16%を占めていたが、07年には6%と10ポイントも低下。北米航路・西航や欧州航路(東航及び西航)でも同様の傾向が進んでいる。
日本はコンテナ取扱港が60港以上も整備されたものの、国内輸送ネットワークの未整備や割高な輸送コストなどによって地方港から海外の主要港経由で輸出入が行われる貨物が増加した。その結果、京浜三港でさえも98年には東京寄港が25航路、横浜寄港が26航路あった国際基幹航路の寄港状況が08年には東京寄港が22航路、横浜寄港が21航路と徐々に減少している。
●京浜三港は経営一体化や物流機能の強化で貨物集積を
こうした状況の中、京浜三港はスケールメリットを生かした経営の一体化を図るとともに港湾管理者を中心とした効率的な港湾運営によってコンテナ物流面では東日本のメインポート機能を保持。さらに釜山港などに対峙する日本のハブポートとして日本に寄港する基幹航路を維持するとともに、東アジアの国際ハブポートの形成を目指していく。
これらの目標を実現するための各種施策案として、国際トランシップ貨物やローカル貨物を集荷するために、各種インセンティブ制度を充実させるとともにタグボート基地の効率配置によって港湾利用コストを低減。また港湾到着から最終着地までの輸送効率を上げるため、国内各港と連携し入港料や施設使用料を相互で減免するといった施策を検討している。京浜港が内航フィーダー輸送拡充のために行っている相互減免は現在、八戸港と実施しており、こうした取り組みを全国の港に広げていくという。さらに鉄道輸送利用時にはコンテナ貨物のターミナル優先入場といった優遇策を設け、鉄道輸送促進のための環境を整備。トラック輸送についても3環状道路や東京港、川崎港、横浜港を縦につなぐ国道357号の整備を国に対して積極的に働きかけていく。
また、京浜港の経営体制については当面、実質的な一港化を進めつつ、将来のポートオーソリティの設立を視野に入れた取り組みを進めていく。海外では行政から独立し、柔軟性のある経営主体を構築している港湾経営組織であるポートオーソリティだが、日本ではほとんど例がない。海外では民営会社(ロッテルダム港)、独立法人(ハンブルグ港)、公社(釜山港)などの事例があるため、これらを研究し日本版ポートオーソリティ実現に向けた取り組みを本格化していく。
11年までに港湾計画の基本となる「京浜港の総合的な計画」策定を目指す
今後は京浜港連携協議会が主体となり、京浜港広域連携推進会議がアドバイスを行う形で11年度をメドに各港の港湾計画の基本となる「京浜港の総合的な計画」の策定を目指す。京浜港連携協議会は同計画の策定のほか、京浜港の一体的な経営に係わる連絡調整の役割も担い、今回の「京浜港共同ビジョン」に盛り込まれた各種施策の具体化などを進めていく予定だ。
カーゴニュース2月18日号