物流業界ニュース
民間の物流ノウハウや施設を活用した災害時のシステムを
「東日本大震災」教訓に「首都直下」などの大震災への備えを
国交省の有識者で『支援物資物流システムの考え方』まとめる
東日本大震災での教訓をもとに近未来の発生が想定されている巨大地震に備えた「災害ロジスティクスシステム」(支援物資物流システム)のあり方を議論してきた国土交通省の「アドバイザリー会議」は2日に開いた3回目の会合で基本的な考え方をまとめ報告した。民間の施設やノウハウを活用した「災害に強い物流システムの構築」について検討してきたもので、今後、巨大地震が近未来、高い確率で発生が予想されている「首都直下」「東海」「東南海」「南海」の地震を想定して緊急支援物資の物流システムを構築して備えようというもの。アドバイザリー会議の報告のポイントを見てみた。
●スピード審議のアドバイザリー会議
政府の東日本大災害災害復興本部は7月29日に、「東日本大震災からの復興の基本方針」を決定した。その中で、「類似災害に備えての倉庫、トラック、外航・内航海運等の事業者など民間のノウハウや施設の活用などソフト面を重視した災害ロジスティクスの構築」が盛り込まれた。これを受け、国土交通省は9月22日、有識者15名で構成する「支援物資物流システムの基本的考え方に関するアドバイザリー会議」を設置し問題点・課題を整理した後、災害ロジスティクスに関する基本的な考え方を集中的に議論してきた。
●「東日本大震災」での課題
報告書では、支援物資物流における問題点として、(1)地震発生当初は地方自治体の業務に物流事業者や団体が参加していなかったため、物流のノウハウを持つ者が不在で円滑な輸送や物資集積拠点の運営に支障があった、(2)被災地情報や物資情報など情報が途絶えた、(3)市町村自体の被災により国・県・市町村の間の連携が十分ではなかった、(4)大量の支援物資が送りこまれたことから物資集積拠点の機能が低下した、(5)避難生活が長期化する中で時間の経過とともにニーズに合わない支援物資が在庫として滞留する現象が起きた―などが指摘されている。このほか、インフラの損壊によって円滑な支援物資輸送に支障をきたし、東日本を中心に燃料油不足が発生したこともあって支援物資輸送車両の燃料も不足した。
●アドバイザリー会議がまとめた支援物資物流の改善策
こうした問題点をもとにアドバイザリー会議は、支援物資物流の改善策として、(1)早期の段階から国や地方公共団体が実施するオペレーションに物流事業者やその団体が参加するようにして民間事業者の能力を最大限活用し能力を発揮できるようにする、(2)現行の災害時の協力協定に不足はないかを確認し必要に応じて内容の見直し、追加の協定締結を行う、(3)避難所、行政機関施設、物資集積拠点などの情報通信手段が途絶えないように衛星通信機器や自家発電機器を配備して情報通信手段を確保する、(4)必要な情報項目や単位を整理し物資発注様式を統一し物資情報を円滑に交換できるようにする、(5)関係者が参加する訓練を実施するなど体制の点検、役割分担、問題点の把握などについて平時からチェックし事前の備えを徹底する、(6)物資集積拠点の運営において、物流事業者の能力を最大限発揮できるようにするとともに、拠点として備えるべき機能や配置のあり方について検討したうえでリストアップしておく、(7)災害対策基本法の指定公共機関・指定地方公共機関について必要に応じて物流事業者や団体を新たに追加することを求める―ことなどを指摘している。
●今後の取り組みと予算措置
さらに、今後の取り組みについて、大規模災害が懸念される地域で、ブロックごとに国、地方公共団体、物流事業者など関係者による協議会を設置し、今年度内に今後の支援物資のあり方について具体策をまとめるとしている。
国交省ではこのため、先に成立した今年度の3次補正予算で補助制度を設けるとともに、来年度予算でも調査費を要求している。
カーゴニュース12月8日号
