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消費税率10%に引き上げで「関税・消費税の立替問題」に不安感

「ダイレクト方式」の普及でやや改善も、抜本的な解決とならず

野田佳彦首相が2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%まで引き上げるための関連法案を11年度内に国会提出することを明言したことを受け、通関業者の間では「関税・消費税の立替問題」の深刻化に対する不安感が広がっている。「関税・消費税の立替問題」は、通関業者が納税義務者である輸入者に代わって輸入貨物にかかる関税・消費税を立替えている問題で、立替額は年間で1兆円に達する規模とみられている。立替は一般的には通関業者の「営業行為」「サービス」とみなされているが、立替のための資金繰りに苦慮している通関業者も多い。輸入者の一般口座から関税・消費税を直接引き落とせる「リアルタイム口座振替方式(ダイレクト方式)」の普及で、通関業者の立替はやや改善傾向にあるが、抜本的な解決策にはなっていない。

●立替はサービスから悪しき商慣習に

関税法上、輸入貨物にかかる関税・消費税の納税義務者は輸入者と規定され、納税が確認されない場合は、原則として輸入できない。しかし、実際には通関手続きを依頼されている通関業者が輸入者に代わってNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)専用口座から関税と消費税を立替えているケースが多い。

輸入者が経営破たんした場合に、通関業者は立替金を回収できなくなるリスクがある。また、自社の売上の何倍もの関税・消費税を立替ていることもあり、そのための資金を銀行から借り入れするなど負担も大きい。関税・消費税の立替は、もともとは通関業者のサービスという発想で出てきたものだが、次第に経営を圧迫する悪しき商慣習と認識されるようになった。

大企業の輸入者は担保を積んで、関税・消費税の延納制度を利用できるため、立替を頼む多くの輸入者は中小企業である。輸入者、通関業者ともに中小企業である場合、立替の強要が、輸入者の通関業者に対する「優越的地位の濫用」に該当するかどうかは非常に微妙で、ここに立替問題の難しさがある。05年の162回国会でこの問題が取り上げられたこともあったが、立替は民・民の契約に基づく行為で、国が規制するところではない――という財務省や税関のスタンスに今のところ変わりはない。

●「ダイレクト方式」に関心示さぬ輸入者も

08年からは輸入者の一般口座から関税・消費税を振り替えられる「ダイレクト方式」がスタート。日本通関業連合会(鈴木宏会長)では同方式のメリットを紹介したリーフレットを作成し、輸入者に利用を呼び掛ける活動を強化している。「ダイレクト方式」が普及すれば、通関業者の立替は解消するのだが、輸入者からすると、通関業者の立替により、金利負担ゼロで関税・消費税の納付を先延ばしできるメリットは大きく、「ダイレクト方式」にはなから関心を示さない輸入者もいる。

通関業者の方が輸入者より会社の規模が大きく、ネームバリューがあれば、「ウチでは立替はもうしません。嫌ならよそに頼んでください」と強気な交渉で「ダイレクト方式」への切り替えを提案できる。一方、中小の通関業者は「立替を断れば、仕事を切られるのではないか」との不安から、輸入者に話を切り出しにくい。「ダイレクト方式」を通関業者が導入して、通関業者の一般口座から立替を継続している本末転倒のケースもみられる。

こうした中、野田首相の「明言」により、以前から議論の焦点となっていた消費税率10%引き上げがいよいよ目の前のこととして迫ってきた。関税と消費税の立替額では、消費税の比率が圧倒的に高く、「5%から10%に引き上げられれば、通関業者の負担は相当増える」との見方だ。通関業者からは「税金(関税・消費税)立替のために銀行から借り入れた金利負担だけでも返却されるシステムにならないか」「通関業界として担保を積み立てて、通関業者の延納制度を認めてほしい」など立替を「前提」とした改善提案も出されるなど立替解消への道のりは遠い。

カーゴニュース12月27日号

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