フィリピン地熱発電所・プラント輸送プロジェクト

第2章 悪条件との戦い

プロジェクトメンバー紹介
T.O.
A.F.
K.I.
大型製品から、緊急貨物まで……

主要機器は、日本から輸送!

発電プラント製品のような大型製品は、完成したものを運ぶことができません。なので、輸送できる大きさの部品を工場で製作し、現地に届けます。主要機器のほとんどは、日本の工場から出荷され、横浜港からネグロス島に輸送。大切な製品を期日どおりに届けるためには、緻密なサポートが必要なのです。

K.I.

僕が担当したのは、川崎の工場で製作された日本出荷品の輸送。3ヶ月の間に5~6回の荷積みがありました。船積みが遅れると港への滞船料が発生します。それに、現地への納期は決まっているので、船を止めるわけにはいきません。計画が予定通り進んでいなかったため、もはや一刻の遅れも許されないという状況でした。

T.O.

計画はあくまで計画。うまくいかないもんだからね。それを、実行する実務部隊は大変なんですよ。

K.I.

工場からあがってきた品物を、船積みできるように梱包して、期日までに通関を通すために、工場と綿密な打ち合わせを行いながら、通関に必要な書類を作成していきます。今回は、マニラの通関が厳しいと聞いたので、特に気を使いました。でも、まぁ、緊迫した状況は、いつものことですから……。先に書類だけ作成して準備を進めたり、調整には努力しました 。

T.O.

K.I.は、緊急貨物の輸送も担当しました。建設が始まってから、手配したはずのものが漏れていると、直接、現地に持っていくこともありました。

K.I.

現地から突然、「あれがない!」と言われて、「明日、行ってくれ!」というような感じです。航空便で、80キロくらいある荷物も運びました。重かった~ けれど、いつもこんな感じなんです(笑)。

ジャングル、沼地、悪路を越えて

目的地、ノーザン・ネグロス・サイトへ

港から、地熱発電所が建設されるノーザン・ネグロス・サイトまでは、約100キロの道のり。南北にのびる山脈、ジャングル地帯、広大なサトウキビ畑と豊かな自然に恵まれていますが、整備されていない道路もあり、重たい荷物の輸送が心配されました。山超え、谷超え、悪条件と戦いつつ、貨物は目的地に向かいます。

T.O.

輸送がピークに差し掛かると、また、ここで予期せぬトラブルが出てくるわけですね。それをスムーズに進めるために、今度はA.F.がマニラに入って、直接、手配をコントロールしました。

A.F.

マニラに赴いたのは、輸送も終盤にかかった7月ですが、全体的に計画が遅れていたため、現地からの要求も厳しくなっていました。

T.O.

今回は重量貨物を、漁港であるプルパンダン港にあげ、プルパンダン港からサイトに運びました。バコロド港からの経路は橋が多いので、重量貨物の輸送は厳しいと判断したんです。現地の官公庁と何度も打ち合わせて決めましたが、貨物船をプルパンダン港に着けたのは初めてだということでした。

A.F.

内陸輸送でも、重量貨物の運搬が課題でした。たとえば、斜面が急な上り坂では、重たい物は運べません。橋を補強したり、道路の整備をしたり、対処したわけです。

T.O.

実は、最初の計画段階では、橋の補強は入っていなかったんです。橋の強度計算をしたときには、物理的には補強はしなくても大丈夫と言う結果でした。けれども、実際に運ぶ段階になって、現地の道路局からNOと言ってきた。それで、橋の補強をするという条件で許可を得ることにしました。4月に工事を初めて、完成が5月の半ば。荷物が着き始めた頃でした。