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物流業界ニュース

年末特集 「カーゴニュースが選ぶ2015年物流10大ニュース」

1.物流の労働力不足進む、トラックでは取引環境改善の動きも

  厚労省や国交省でも道路局が積極的関与、荷主への圧力が高まる

「物流問題を論じる時は景気が良くなって労働力不足が健在化する時だけ。その後は忘れ去られるが、今回はそうなってはならない」という意見が交通政策審議会の委員から発せられたが、今年はバブル期以来、久々にドライバーの処遇改善が真剣に議論された。少子高齢化の進展によってドライバー不足の発生はかねてから予測されていたが、アベノミクスによって一気に健在化。国交省だけでなく、厚労省も参加した「取引環境・労働時間改善」の中央、地方協議会も開かれて荷主に対して改善を求めたほか、同じ国交省でも道路局がインフラの維持管理という視点から、荷主の過積載への責任を公表する姿勢をみせるなど、国が関与を強めた年となった。

2.大型M&Aが引き続き増加、“足回り”強化のための買収も

  日本郵便が豪トールを子会社化、低温物流業界でも再編進む

今年まず、業界を驚かせたのが日本郵便による豪物流大手トールHDの買収だ。5月、約6100億円を投じて完全子会社化したが、海外でのBTOBに実績を持たない日本郵便にとって、肝心の統合シナジーは“未知数”との見方も強い。国際の舞台では、近鉄エクスプレスも5月に北米やアジアに強みを持つシンガポールの物流会社APL LOGISTICSを1490億円で買収し、大型M&Aが続いた。国内では低温物流業界を中心に再編が進み、6月にセイノーHDが関東運輸を子会社化したほか、10月には名糖運輸とヒューテックノオリンによる共同持株会社C&FロジHDが誕生した。三井倉庫HDによる丸協運輸の買収などトラック不足を背景とした“足回り”強化へのM&Aにも注目が集まった。

3.新モーダルシフト時代、複数荷主の連携による鉄道シフト進む

  「イオン号」に象徴される取組み、フェリー・RORO船でも活発な動き

幹線での長距離トラックドライバーが不足する状況を受け、鉄道・海運へのモーダルシフトの機運がますます高まった1年となった。鉄道コンテナ輸送では、専用列車「イオン号」の運行に代表されるように、複数の荷主企業の連携による積極的な取組みが目立ったほか、これまで対象外だった中距離でのシフトの動きも顕在化。また、福山通運が2本目の専用列車を運行するなど特積トラック業界での動きも活発となった。一方、フェリー・RORO船でも、貨物搭載能力を大幅に拡充した新船への代替が進んだほか、新航路開設の動きが見られるなど、モーダルシフトの受け皿機能を強化しようとする取組みが進んだ年だった。

4.通販市場がさらに拡大、宅配事業者ではサービスも続々

  通販会社主導のスピード配送サービスにも注目集まる

依然としてわが国通販市場が拡大を続ける中、そのラストワンマイルを担う宅配業界では今年も熾烈なサービス競争が展開された。ヤマト運輸は4月、クロネコメール便を廃止するともに「クロネコDM便」および宅急便新商品「ネコポス」「宅急便コンパクト」を発売し、6月から順次CVSでの取扱いを拡大している。日本郵便では3月に封筒投函型の「スマートレター」を発表し、4月には楽天市場とロッカー受取サービスを開始。10月からはファミリマートでの通販荷物受取にも対応した。通販会社側でも、楽天が最短20分、Amazonが最短1時間でスピード配送するサービスを開始するなど、受取時のさらなる利便性向上が競われた。

5.引き続き物流不動産業界が活況、大型物流施設の開発相次ぐ

  16年は15年をさらに上回るスペースが供給

引き続き物流不動産業界が活況だった。賃貸用物流施設の規模はますます大型化し、開発計画の勢いも衰えていない。全国ベースで2015年は約200万平方メートルが供給され、16年はそれをさらに上回るスペースの供給が計画されている。これだけ供給が増えても、首都圏、近畿圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率は依然として低水準を維持。物流の集約ニーズを吸収している状況がうかがえる。しかし、土地の取得価格や建築コストの高騰の影響により、賃貸用大型物流施設の賃料の上昇が顕著になってきている。こうした施設を借りて物流業務を行うことのコストメリットが薄れつつあり、今後の供給にどう影響するか注目される。

6.荷主が“自社物流”志向、物流事業に参入も

  物流を本業とする企業にとって脅威に

先進的な荷主企業の間で、既存の物流企業が提供するサービスに飽き足らない“自社物流”を志向する動きが強まっている。荷主自らが手を結んで主導的に共同物流のスキームをつくり、物流会社に委託するケースも増えつつある。注目すべきは“自社物流”を掲げる大手小売業がそこで培ったノウハウをもって物流事業に参入していること。ニトリは子会社を通じて自社の物流インフラを外部に開放し、他社製品の物流受託を積極化。アスクルはネスレ日本の直販ビジネスの拡大に向け、同社の配送を請け負った。先進的荷主の物流事業への進出は、物流を本業とする企業にとって脅威となりそうだ。

7.運賃値上げ奏功、大手物流企業の好決算が相次ぐ

  燃油費下落も利益改善に寄与、円安の為替効果も

国内では消費増税以後の個人消費の低迷が続き、設備投資も伸び悩んだ。その一方、円安によるメーカー拠点の日本回帰≠焜gレンドとはならず、中国経済の減速が影響し輸出入もふるわなかった。総じて荷動きには活況が見られなかった。そうしたなか上場物流企業では好決算が相次いだ。2016年3月期第2四半期決算では、大手上場企業21社(一部未上場含む)は全社とも売上高は増収となり、営業利益も21社中18社が増益となった。トラック系では運賃の適正化が奏功し売上が増加するとともに、燃油価格下落による経費削減で利益が改善された。また円安による為替効果で海外法人の収入が嵩上げされたことも寄与した。

8.物流行政が活発な動き、交政審物流部会が発足

  国交省が物流審議官部門を中心に積極的な動きをみせた

実は国交省には審議会の場でトータルに物流問題をみる場が10数年なかったが、今年は交通政策審議会に物流部会が発足した。また、宅配の再配達、手ぶら観光などでも課題解決に向けた積極的な取組みが目立った。社整審と交政審では4月から15回の会合を開き、日本経済を支える物流が労働力不足と高齢化に見舞われる中で新しい物流像が必要になってきた、ということで今後の物流政策の基本的な方向についてとりとめを行った。また、宅配の再配達によって年間42万トンのCO2と9万人分の労働力がムダに使われているという発信も広く世間の注目を集めた。その根底にはこれまでの規制緩和一辺倒から「市場原理にまかせているだけではいけない」(羽尾審議官)という方向転換もあったようだ。

9.ロボット化など物流新技術や省力化に注目集まる

  労働力不足を機に技術革新への期待高まる、ドローンの活用も話題に

人手不足などを背景に、物流新技術や省力機器への注目が高まった1年だった。ドイツ政府が進める「インダストリー4.0」に象徴されるモノづくりの革新が世界的な潮流となる中、物流分野でも倉庫内作業の省力化が改めて脚光を浴びた。具体的には日立物流が一部拠点で導入した無人搬送車「RACREW(ラックル)」を活用したピッキングシステムなどが注目されたほか、パワーアシストスーツなどの開発も進んだ。また、ドライバー不足を契機に一貫パレチゼーションなどパレット荷役の必要性が改めて議論された。このほか、小型無人機(ドローン)の荷物配達への活用も大きな話題を呼び、政府主催の官民協議会で議論が進められている。

10.中国経済の低迷で輸出入物流に大きな打撃

  米州向けやASEAN物流需要は旺盛な動き

日本にとって最大の貿易相手国である中国経済が急激に減速し、低迷している。円安にも関わらず輸出物量は大きく伸びなかった。天津港の爆発事故も一時的に大きな打撃となった。中国向け国際物流の将来を悲観する見方も一部では出てきている。一方で米州向けの物量は米国経済の好景気を受け増加。また米州の海外会社も好調な業績を上げた。年末にAECを発足させるASEANの物流は活況を示した。ASEANへ製造拠点をシフトする荷主の動きに伴い、物流各社によるASEANでの拠点づくりが目立った。アジア発欧米向けの三国間物流が増大するなか、中国・ASEANから欧米向けの物流網整備も進んだ。

カーゴニュース 12月29日号

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