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北海道新幹線開業後の貨物輸送への影響は?通運連盟が特別委を設置

高速走行は技術的に困難も、JR貨物が要求する運賃アップの問題も...

北海道新幹線のうち、せめて1本だけでも青函トンネル内を時速200キロメートルで走行させようとする計画は課題山積で2年後も開始困難?それでも通運業界は「青函トンネル特別委員会」を発足させて輸送力維持へ万全の対応―。

3月26日に開業する北海道新幹線について、2年後をメドに貨物列車と共用する青函トンネル内の高速走行を目指すために、交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会整備新幹線小委員会青函共用走行区間技術検討WGが18日に開催された。今回で6回目となる青函共用走行区間技術検討WGはほぼ3年前の13年3月25日に開催されたWGで指摘されていた技術的問題の検討結果が示されたもの。ほぼ3年ぶりの開催だったわけだが、安全問題をクリアーするためには様々な課題を克服しなければならないことが改めて浮き彫りになったほか、メンテナンス時間の設定や高速運転時間帯の設定などJR貨物と北海道の間での調整事項なども多く残されていることから、次回の開催日程も決まらないまま、予定の半分程度の時間で終了した。

貨物のゴールデンルートである青函トンネルを優先的に利用していたJR貨物にとって、万が一、新幹線が優先されると死活的な問題になることも考えられていたが、この高速走行に関してJR貨物は「青函トンネルを時速200キロメートルで高速走行しても14〜18分しか短縮されず、安全確認を含めて前後3時間も貨物列車が入れないだけでなく、新幹線のダイヤも1本無駄になる。たった1本の高速運転のために確認車の運行などによるランニングコストをかけられるのか」と不合理な計画としていた。

17年春の防音壁などの完工時期から1年後のダイヤ改正時となる18年春に、1日1往復の高速走行の実現を目指すことを目的に開かれてきたWGだが、JR会社間の調整や、カメラやレーザーを使っての保守点検車の試作なども行わけなければならず、常識的に考えれば、実現は相当、難しくなったという見方が出てきている。

しかし、利用者である通運業界は「青函トンネルは道外、道内の物流と経済を支える大動脈。万が一にも貨物列車の本数減や、リードタイムの悪化などがあっては大変ということで、通運連盟の中に『青函特別委員会』を設置した」(全通連会長の福田泰久センコー社長)ということで、22日には会合を開き、植松満日本通運執行役員が委員長となって今後とも注視する姿勢をとっている。

●カメラの曇り防止など課題山積

18日は2年後に目指すとしていた1日1往復の高速走行と、長期的な課題とされた「すれ違い時減速システム等による共用走行案」と「新幹線貨物専用列車導入案」について、ほぼ3年前に開催されたWGを受けての検討結果が国土交通省鉄道局から説明された。

このうち、物流関係者が心配していたのは最初の1日1往復の高速走行問題。東京〜函館は10往復というローカル線ダイヤ並の北海道新幹線に、北海道発着貨物の40%にあたる年間450〜460万トンが51本の貨物列車で運ばれているダイヤに影響を与え、ただでさえ不足気味な輸送枠がさらに圧迫されるかもしれなかったからだ。

WGでは現行では目視によって線路上の支障物を発見しているものを、カメラとレーザーによって自動化、高速化できないかという課題が取り上げられたが、それを搭載する確認車に高価な新幹線車両を改良するのか、JR貨物の電気機関車を改良するのかと言う問題についても、コストやスピードで一長一短があるとして4案が示されただけだった。また、青函トンネル内は常に湿度と温度が高い状態にあるため、一部のJRで使用されているカメラを使う方法でもレンズの曇り防止などをどうするかなどの問題も残ることが指摘された。

これに加え、現状でも2時間半程度と在来線並みの時間しかとれてない線路のメンテナンス時間を拡大するための貨物と北海道の協議なども残っている。さらに、こうした課題を全てクリアーしても、最終的に1日1往復の高速走行の時間帯をどこに入れるかということも決まっていない状態だ。

ましてや「すれ違い減速システム」や貨物列車を新幹線台車に乗せる「トレイン・オン・トレイン」方式は、財源も含めて先の話となりそうで、第6回WGは委員からも活発な議論は出ず、予定の半分ぐらいの時間で終了となった。

●通運業界は青函特別委、JR貨物は利用増を呼びかける

JR貨物も北海道新幹線の開業によって在来線の旅客列車が廃止され、貨物ダイヤに余裕が出来てリードタイムが改善したとして、利用拡大を呼びかけている。

常識的には青函トンネルを新幹線が高速走行するのは函館〜札幌間の線路設備が完成した後とみられているが、日本の食糧基地としての重要性が増す北海道〜本州を結ぶルートに万が一のことがあっては大変ということで、全国通運連盟(川合正矩会長)でも特別委員会を設置して対応することになった。

とりあえず、ホクレンなどの荷主や通運業界はホッとひと息ついた状態のようたが、今後はJR貨物側が要求している青函トンネルの新幹線開業に伴うコンテナ運賃アップ=賦課金についての協議が待っており、今後とも目は離せないようだ。

カーゴニュース 1月26日号

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