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物流業界ニュース

「荷役料金は払ってもらっていない!」運賃問題で荷主とトラックが激論

「50%近くがドライバー不足で輸送を断っている」との実態も

第3回「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」

運賃ワーキンググループを設置して、運賃本体では下限の設定と車両留置料(手待ち時間)や荷役料など料金について議論を深めるとともに、物流改善に取り組む農林水産省の関係者も出席して、総合的にドライバーの労働環境改善へ―。

国土交通省は19日、本省で第3回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会及びトラック運送業の生産性向上協議会を開催、トラックドライバーの長時間労働の実態が調査によって明らかになったほか、品目別で特に改善基準告示違反の運行が多かった農水産品については、次回の会合から農林水産省の関係者も呼び、労働環境改善のキーポイントとなる運賃についてはワーキンググループを設置することも決まった。

今回で3回目となる中央協議会では昨年9月14日から7日間の期間で調査したトラック輸送の実態調査が明らかになった。今回は、これを元にした議論となったが、荷主側とトラック側の出席者が運賃問題について議論となり、ワーキンググループを設置することが決まった。

●「労働環境改善は安倍内閣の重要課題」と厚労省の三ッ林政務官

中央協議会は、国交省だけの対策ではトラックの取引環境改善やドライバーの労働環境改善に限界があるということで、労働基準法や改善告示違反によって荷主にプレッシャーをかけられる厚生労働省が積極的な関与に期待がトラック側から高まっていた。元々、厚労省ではトラックのドライバーの労災事故が運転中よりも荷主の庭先で発生することが多いことを問題視しており、今回は労基法改正で中小企業でも月60時間超は5割増の賃金を払わなければならなくなることも重なったことから、設置の段階から積極的に関与することになった。

3回目となる今回は厚労省の三ッ林裕巳政務官が最初に挨拶に立ち「労働環境の改善は安倍内閣の重要課題であり、取引環境の議論は避けて通れない。軽井沢でのスキーバス事故をみるにつけて、労働条件の大切さを改めて考えさせられる。ドライバーの確保という観点からも改善に取り組むべきであり、アンケートを元に活発な議論を期待する」と述べ、これを受けて宮内秀樹国土交通大臣政務官は「厚労省が焦点を当ててくれるのはありがたい。官邸でも年末に下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議を立ち上げたが、不公正な取引はまだまだある。トラック運送業界でも燃料油のサーチャージを要請したのにもかかわらず、改善されなかったというのが現状だ」と挨拶した。

●「50%近くがドライバー不足で輸送を断っている」

会合ではまず、昨年9月14日から7日間の期間で調査したトラック輸送の実態調査が明らかにされた。国土交通省の秡川直也自動車局貨物課長が説明に先立ち「「労基法と改善基準告示で、トラックドライバーの拘束時間は1日原則13時間以内で最大16時間、休息は継続8時間以上、連続運転時間は4時間以内と決まっていることを念頭に置いて聞いてほしい」とした上で「1運行の拘束時間が13時間を超える運行が全体の36.6%、16時間超も13.0%ある。16時間超の割合が高いのは『大型』『長距離』『農水産品』『九州』。休息期間8時間未満も15.8%あり、『大型』の割合が高い。調査した1週間で休日がなかったドライバーも9.8%あり、これも『大型』の割合が高い。また、連続運転4時間超も10.7%あり、『大型』『長距離』『農水産品』『九州』の割合が高かった」と概要を説明した。

また、荷主都合の手待時間は発着とも発生しており、時間も1時間程度と同じだったが「時間指定がある場合でも、ない場合でも同じなのは工夫が必要ではないか」(同)としている。

また、当日の会議で大きなテーマとなった料金については、「運送契約で荷役に関して書面化していると70%の割合で、口頭でも50%で料金が取れている」(同)とコメント。また、ドライバー不足対策として「大手ほど不足しており、対応できず輸送を断っているのが50%近くある」(同)と注意を促した。

また、荷役時間についてパレットを使っても、使わなくても時間は57分(パレット)と49分(手荷役)と変わらないことについては「荷物によっても違いがあるかもしれない。パイロット事業でも荷役に関しては工夫したい」としていた。

トラック運送業の生産性向上に向けたパイロット事業については2年間行うということで、補正予算で3.3億円を確保しており、荷主業界ごとの商慣習・商慣行の対策、共同化、原価計算、IT活用などの例を各県ごとにつくって配布するという。

また、九州発輸送について拘束時間が長いことについては、北海道発の生鮮品はジャガイモや玉葱が中心でJRのコンテナ利用も進んでいるが、九州は葉物が多く、しかも東京向けで輸送時間が長くかかるからではないか、という意見も出された。

改善基準告示違反の運行が多かった農水産品については、全日本トラック協会(星野良三会長)の福本秀爾理事長が次回の会議から農林水産省の関係者の出席を求め、国交省からも要請することになった。

●運賃・料金問題で荷主とトラック側が激論も

これまでは労働時間中心の議論だったが、今回からは運賃・料金問題についても議論が行われた。

国交省の説明の中で注目されたのはトラック運賃にはバス、貸切タクシーに比べて上限、下限がなく、しかも事後届出という最も緩い規制であることが問題だという資料。トラック運送業界からはモデル運賃など目安になるものをという要望があるとした上で、認可運賃時代もそれ以下で受注する事業者が多く、トラック運賃の水準は低かったことも指摘されていた。

運賃に関してはトラック側の労使から「上限は消費者利益だろうが、下限は運転者の生活をつくって公正競争を担保するためにあると思う。しかし、トラック運賃だけが上限も下限もなく、世間並みの賃金を支払えない」「安全運行の観点からも必要だ」「下限料金は最低賃金のようなものではないか。そのため今でもトラック業界では社会保険料を払っていない企業が3割近くもある」という意見が出されたのに対し、荷主側からは「大手企業はコンプラインスを守ってコストを負担しており損をしている」「ドライバー不足でモノが運べないのは危機感持っているが、業界別の対策の方が話しが進みやすいのではないか」と中小企業中心の対策が必要ではないか、という意見が出された。この発言に対しては、トラック側から「大手荷主からは『運賃は遜色ない』といわれるが、手積み手下ろしの作業付きで附帯料金は払ってもらっていない」「労働環境を改善したいと提案したら、荷主から契約を切られたケースもある」と応酬する場面もあった。

こうしたことから、運賃だけでなく料金(荷役作業の有料化)の問題については、ワーキンググループをつくって検討を進めることになった。

トラック側としては、現状の運賃が、03年に届出制へ移行する前に改定された99年運賃改定の際に定められた下限20%を下回っていることもあることについて、強い不満があるといわれている。

●軽油安を理由にした値下げ要求には地方運輸局で対応

運賃問題にからんで、当日はこのところ値下がりが続いている軽油価格についても国交省から資料が提出された。秡川課長は「確かにこのところ軽油価格は下がっているものの、規制緩和以降の感覚ではまだ燃料油価格高い。そうした中で運賃下げろという要請も出ているが『上がっている時には転嫁してもらえず、下がった時にだけ言われるのは厳しい』という意見も寄せられており、もし値下げ要請があった場合は地方運輸局で対応するので相談してほしい」と述べた。

カーゴニュース 2月25日号

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