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物流業界ニュース

震災時にエネルギーは最後の砦、供給体制の強化が必要

タンクローリーが関越トンネルやアクアラインを災害時に通行可能に

ISOタンクコンテナの活用も有効 関東経産局がセミナー

「タンクローリーを緊急通行車両として事前提出できるようになったが、全国でタンクローリーが通行できない長大・水底トンネルは24ヵ所あり、そこに含まれている首都圏の関越トンネルとアクアラインを通せるようにしなくては大規模災害時に首都圏は大変なことなになる」「ISOタンクコンテナは貨物列車、コンテナ船にも載せられるためいざという時に有効。44万基が世界に流通しているので非常時に活用でき、4本足で自立できるタイプならば、海外ではポータブルポンプを付けて給油をしている例も」―。

東日本大震災からまもなく5年となるが、震災時に課題となっていた石油の供給体制に関するセミナーが開催された。当時はJR貨物がJR東日本の力も借りながら、根岸などから被災地に向けて日本海回りや磐越西線を利用して実施した石油専用列車なども運行されたが、そうした記憶も薄れる中、首都直下地震・南海トラフ巨大地震の脅威は増しているといわれる。

2月25日に「災害時における石油供給体制の強化に向けた課題と対応」と題されて開かれたセミナーは、国土強靱化基本計画と国土強靱化アクションプラン2015を踏まえて関東経済産業局が主催したものだが、震災直後の支援物資輸送や国民生活や物流など経済活動に必要不可欠な石油、ガス、電力等のエネルギー基盤の強化を早急に進めることの重要性が訴えられた。

最初に挨拶にたった鍜治克彦局長は「東日本から丸5年たったが、当時は災害対応や被災地支援のために必要なエネルギーのサプライチェーンの途絶が大きな問題になっていた。これまで、広域パイプライン(ガス)、電気についての議論を行ってきたが、今回は最後の砦とも言うべき石油がテーマとなった」と挨拶していた。

セミナーでは「災害時石油供給の円滑化に向けた取り組み」と題する講演が大江健太郎資源エネルギー庁資源・燃料部石油精製備蓄課課長補佐から、「官民連携による防災対策 首都直下地震を想定した石油の安定供給対策」が比留間孝寿エイジアム研究所副社長から、「東日本大震災時の命のガソリン」が佐藤義信宮城県石油商業組合理事長から行われた。この後、谷田俊之出光興産物流部長と山下豊ニヤクコーポレーション取締役常務執行役員も参加して、パネルディスカッション「災害時における石油製品の安定供給に向けて 関係者の役割と連携」も行われた。

当日の講演とパネルディスカッションの模様は、要旨、以下の通り。

●タンクローリーが緊急通行車両に

資源エネルギー庁の大江課長補佐によると、東日本大震災の時、被災地から発せられた供給要請のうち29%を占めていたが石油製品だという。しかし、タンクローリーが緊急通行車両とされていなかったため、緊急通行路を優先通行させて被災地に急行させるための調整に時間を要するなどの問題も生じたという。こうした経験を踏まえハード面では、川上に相当するコンビナートの液状化を防ぐための総点検や、川下では自家発電設備や大型タンクなどを備えた中核SSを整備しているという(全国で1600ヵ所)。また、資本の関係を超えた系列BCPを整備するとともに、訓練も実施。さらに、災害応急対策に使用するタンクローリーを緊急通行車両として事前提出できるようにしたほか、自衛隊との連携、ドラム缶を使った簡易SSの設置などの対策も検討しているという。

●「どんな災害でも石油は足りなくなる」

比留間副社長によると阪神淡路大震災の時にもマイカーの中での寝泊まりがあったように「どんな災害でも石油は足りなくなる」。このため、製油所・油槽所・製品備蓄の増強に加えてロジスティクスが重要となり、特にタンクローリーとドライバーの確保が必要だという。大正時代から首都圏が大規模自然災害に見舞われたことはないが、電気はガスの復旧には時間がかかるために、1週間は石油を供給しなければならないとして、タンクローリーが通行できない長大・水底トンネルの通行問題に触れた。全国でタンクローリーが通行できない長大・水底トンネルは24ヵ所あり、そこに含まれている首都圏の関越トンネルとアクアラインを通せるようにすれば、首都圏でも8割程度は供給を確保できる可能性があるという。

●「地震でやられたSSはなかった」

佐藤理事長は「こうした講演をするのは初めて」とした上で、発災直後に最も求められたのはガソリン、食糧、灯油の順だったという。これは、家が流された後はクルマが最後の拠点となるため。また「津波でやられたところはあったが、地震でやられたSSはなかった」として、結果的に地場のSSが人命を守ったが、今は人命救助のために緊急時にはポリ缶などにもガソリンを入れられるようになったことも紹介。しかし「津波で流された同じ場所にローリーを駐車している運送会社もある」として危機意識の欠如も指摘していた。

●ドライバーの宿泊施設の確保が問題に

パネルディスカッションで出光興産の谷田俊之物流部長は、災害時の官民連携では3つの環境整備が必要として「自治体からの情報提供、車両通行規制、港湾の整備」が重要だと指摘した。

山下豊ニヤクコーポレーション常務は「東日本大震災時には、鹿児島からも含めて全国30ヵ所からドライバー100名を集めたが、宿泊施設がなくて困った。このため、現在では車庫の中に受入設備をつくった。災害時に宿泊施設の手配や通信、移動の手間も省けるので全国で250人分を増強した」という。

東京都の中川雅敏総合防災部計画調整担当課長によると、東京都では首都圏直下型地震などに備え、給油所に緊急通行車両分の燃料を分散備蓄し、買い取っているとした上で「分散備蓄は重要で、燃料満タン運動などで一定期間は凌ぐことができる」としていた。

●ISOタンクコンテナの活用を

比留間副社長は「記憶の風化によって、投資の中の優先度が下がっている」とも指摘。大規模災害時には長大・水底トンネルをガソリンなどを積んだトラックが自由に通れることが重要と述べ、石油元売り業界などでは安全対策を「エスコート方式で、タンクローリーが隊列走行して走ることも検討している」(出光の谷田部長)という。

また、ニヤクの山下常務は「ISOタンクコンテナがいざという時に有効ではないか。トレーラヘッドでシャーシを引っ張るだけでなく、貨物列車、コンテナ船にも乗せられる。44万基が世界にあるので非常時に活用する手はある。4本足をつけて自立できるタイプもあり、海外のラリーの会場などではポータブルポンプから給油をしている例もある」と述べた。

カーゴニュース 3月1日号

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