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物流業界ニュース(物流/運送情報)

国土交通省が交通政策基本法に基づく2回目の「交通政策白書」

 高齢化、長時間労働、低い生産性の中、数値目標の進捗も遅れ気味

国内の貨物輸送量は漸減傾向にある一方で、インターネット通販市場の拡大により宅配便取扱個数は増加傾向にあり、直近の5年間で15%増加。国際物流でも主要港のコンテナ取扱量はこの10年間でアジアの主要港との差が拡大しており、航空貨物輸送でも成田空港が横ばい傾向にある一方で、香港国際空港の取扱量が突出し続けている――。

国土交通省は10日、15年度版の「交通政策白書」を発表した。これは交通政策基本計画に基づいてつくられたもので、様々な施策について毎年、数値目標の進捗状況とともにチェックしてゆく。

今回の交通政策白書は「交通の動向」「交通事業における人材確保と生産性向上に向けて」「15年度に交通に関して講じた施策と16年度に講じようとする施策」という3部構成になっている。

初回では自動車運送事業の就業構造をみると、総じて中高年層の男性に依存した状態であり、女性比率はわずか2%程度(全産業平均は43%)。労働時間も長く、年間所得は低い状況にあり、トラックドライバーは大型・中型を問わず高齢化が進んでおり、30歳未満の割合が減少しているとしていたが、今回は雇用、労働条件、生産性などについて詳しくふれられている。

●物流業の雇用、労働条件は

日本の就業者数は97年の約6560万人をピークにして、その後は6300〜6400万人程度で推移しているが、このうち交通事業の就業者数は320〜350万人程度で推移している。全産業の中でのシェアは15年現在で5.2%を占めており、欧米諸国と比較すると高い(米国4.3%、ドイツ4.9%など)。

就業者の平均年齢で交通事業は、鉱業・採石業・砂利採取業の47.0歳に次ぎ45.7歳と2番目の高さ。業種別ではタクシー58.9歳、営業用バス49.2歳、大型トラック47.3歳の順。

また、全産業平均で就業者の中の女性の割合は43.2%であるのに対し、交通事業では18.9%と低く、鉄道、乗合バス、タクシーでは1割に満たなかった。

交通事業の平均月間労働時間は173.5時間と最も長い。これは「他産業と比較して、所定外労働時間が長いことも要因になっている」としている。職種別にみると大型トラックのドライバーが最も長く、続いて中型・小型トラックのドライバー、営業用バスの順で、それぞれ全産業平均を30時間以上上まわっている。これらの職種では、超過実労働時間数も40時間程度と長くなっている。

一方、年間所得は全産業平均の489万2000円を下回る441万2000円だった。職種別にみても、航空機操縦士、電車運転士・車掌、旅客係を除き、全産業平均を下回っている。

●労働生産性は

日本の労働生産性は2000年代中盤以降、横ばいになっているが、交通事業は全産業平均の7割程度の水準にとどまっている。

全産業平均のマンアワー(労働者1人が1時間で働く仕事量、人時生産性)は4983円だが、道路運送業は2279円だった。

また、国際比較では米国の交通事業生産性が年間約8万5000ドルなのに対し、日本は6万5000ドル程度だった。

●様々な数値目標の進捗状況は…

物流関連の数値指標で、前年対比で進捗状況が明らかになったものをひろってみると…。

大型貨物自動車の衝突被害軽減ブレーキの装着率は12年度の54.4%を20年度には90%とする計画だが、15年3月末時点では59.5%だったものが60.3%に上昇。

モーダルシフトに関する指標は、鉄道の輸送トンキロを12年度の187億トンキロから20年度には221億トンキロへ、内航海運は333億トンキロから367億トンキロにする計画だったが、13年度のそれぞれ193.4億トンキロ、333.0億トンキロが14年度は195億トンキロと331億トンキロになっている。

国際コンテナ戦略港湾における大水深コンテナターミナルの整備数は13年度の3バースを16年度には12バースとする計画だが、15年3月末時点の5バースが16年3月末には6バースに。また、10年度対比の国際コンテナ・バルク貨物の輸送コスト低減率は12年度の1.2%減を16年度には5%減にする計画だが、13年度の1.5%減が14年度速報値は1.6%減に。

国内海上貨物輸送コスト(10年度対比)は12年度の0.6%減を16年度には約3%減にする計画だが、13年度の0.8%減が14年度速報値では1.3%減となった。

このほか、災害発生時の支援物資輸送の広域物資拠点として機能すべき特定流通業務施設の選定率は56%が68%に。運輸安全マネジメント評価実施事業者数については、13年度の6105事業者を20年度には1万事業者とする計画で、15年3月末時点では6570事業者だったものが、16年3月末時点では7104事業者。13年度における同セミナーの受講者数1万7799人を20年度には5万事業者とする計画については、15年3月末時点で3万590人だったものが、16年3月末時点で3万9932人となった。

こうした数値だけをみると、進捗状況は逆行しているものも含めて遅れ気味のようだ。

このほか、一定以上の輸送能力を有する輸送事業者の省エネ改善率は△1%となっている。

●20年度までの計画だが...

13年11月に成立した交通政策基本法に基づき、15年2月には政府が今後講ずべき交通に関する施策について定めた交通政策基本計画が閣議決定された。これは交通に関する施策の「基本的方針」「目標」「施策」の3層構造になっており、少子高齢化が進展する日本社会の中でのコンパクト+ネットワークという基本的考え方のもと「豊かな国民生活に資する使いやすい交通の実現」「成長と繁栄の基盤となる国際・地域間の旅客交通・物流ネットワークの構築」「持続可能で安心・安全な交通に向けた基盤づくり」を3本柱に総合的な交通政策を進めている。計画の期間は2020年の東京オリンピックを見据え、14年度を初年度として20年度まで。

カーゴニュース 5月17日号

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