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物流業界ニュース(物流/運送情報)

レポート 危険物物流マーケットの「いま」は?

国内需要が成熟化するなか、「高付加価値化」の流れが進展

危険物物流のマーケットでは今後、「小口化」「高付加価値化」がさらに進んでいきそうだ。

ニーズの細分化や高度化を背景に、従来のタンカー〜ストレージタンク受けを前提とした大量輸送・保管型からISOタンクコンテナによるフレキシブルな物流へのシフトが進んでいるほか、危険物倉庫でも温度管理ニーズなどが高まりを見せている。

一方、構造的なドライバー不足の進展から、「運べない時代」の到来も近づいており、その対策が急務となっているほか、倉庫でも省人化・効率化に資する自動倉庫への注目が再び集まっている。

化学業界における国内需要が成熟化するなか、エチレンプラントの統廃合なども進みつつあり、それに伴う物流再編も進みつつある。

危険品物流の現状と今後をまとめた。

●化学業界の荷動きは低調、メーカーは大幅増益も減収基調

化学業界の足元の荷動きは低調に推移している。化学メーカー大手の2016年3月期業績を見ると、原油価格の下落効果などで利益は大きく反転しているものの、売上高は大陽日酸の新規連結などで増収となった三菱ケミカルHDを除き減収基調となった。国内需要の低迷に加え、中国の景気減速が押下げ要因となっている。

その一方、中東でのプラント増設、米シェールガスの生産増などで国内での製造が大幅に減り、大量輸入時代を迎える――との予想が数年来あったが、思ったよりも国内生産は減っておらず、「日本の石化産業のシュリンクスピードは予想よりも遅い」といった指摘もある。ここ1〜2年の円安傾向もあり、国内プラントを廃止するよりも製造余剰分を海外輸出にまわしたほうがメリットがある――との判断が働いているとの観測もあるようだ。

●危険物倉庫は堅調、温度管理や自動化ニーズが顕在化

こうしたなか、危険物倉庫の稼働率は概ね堅調で、保管量は高水準で推移しているところが多い。ただ、エリアによっては明暗が分かれている部分もあり、湾岸部は一杯だが、内陸部の倉庫の一部では空きがでているところもあるようだ。

全体傾向としては、国内生産の減少基調を受けて、輸入が増加傾向にある。危険物倉庫のなかには輸入貨物の荷姿変更ニーズを取り込み、ビジネスを拡大しているところもある。ただ、輸入は基本的に在庫型が多いため、今後はより低コストでスペースに余裕がある内陸のシフトする可能性もある。危険物倉庫業者にとっても、「輸出貨物の方が回転率がよく、できれば輸出貨物を取り込んで収益を高めたい」という考えもあるようだ。

また、化学品の国内生産が単価の低い汎用品から高付加価値品にシフトする傾向にも拍車がかかっており、それに対応して定温危険物倉庫の需要も確実に盛り上がっている。

さらに、物流業界で大きな課題となっている人手不足により、自動倉庫による省人化への注目も高まっている。危険物の自動倉庫は東日本大震災で評価を下げた面があったが、土地の有効活用や省人化の観点から、再び導入機運が高まっている。今後はこうした温度管理/自動化ニーズを背景に危険物倉庫施設自体の高付加価値化が進んでいきそうだ。

●再編機運高まるタンクターミナル、需要はプラスとマイナスが交錯

危険物物流の分野で、今後大きな再編が予測されるのがタンクターミナル。

まず、需要動向では、プラスとマイナスの両面が交錯している。国内需要との関係では「日本の石化需要の減少分程度はタンク需要が減る可能性がある」との指摘がある一方で、「中東などから輸入されるストックポイントとしてのタンク需要は底堅い」との見方もある。

そうしたなかで、足元ではタンクターミナル最大手が売却する動きも伝わっており、動向は流動化している。もともとタンクターミナルは装置産業で高いリスクがあるため、新規参入が少なく、近年はむしろ撤退の動きが強くなっている。そのため、事業を継続することで残存者利益を得られる面もあるが、そのためには一定のシェア確保を通じてプライスリーダーになっていく必要がある。シェア拡大をにらんだ動きのほか、底堅さ≠ノ魅力を感じ新規参入する動きもある。

一方、化学品メーカーではコスト低減の観点からストレージタンクを経由しない物流スキームの構築に動くところも多く、今後の需要動向や再編の行方が注目されている。

●利用拡大続くタンクコンテナ、保管ニーズも拡大

近年、機動性や使い勝手のよさからISOタンクコンテナの利用は拡大するなか、ISOタンクコンテナからの受け入れやローリーなどへの詰め替えを行う「マルチワークステーション」の建設が増えている。また、コンテナヤードにおける危険物蔵置規制の強化を受け、港から近い湾岸部ではISOタンクコンテナの保管施設のニーズも急拡大している。

一方、グローバル規模では、ISOタンクオペレーター、リース業界ともに大型再編が相次ぎ、競争はさらに激化している。日本市場でもその影響を少なからず受けており、主要プレイヤーの顔ぶれにも若干の変化が見られる。日本国内のタンクコンテナへの切り替え需要はほぼ一巡したとの見方もあるが、ドライバー不足を背景としたモーダルシフトなどで新たなニーズも生まれているようだ。さらに、日系化学品メーカーには世界規模で大きなシェアを持つ企業が多いほか、今後は新冷媒の輸送需要にも期待が寄せられる。日本発着のみならず、日系メーカーによる三国間輸送を含めた日本市場≠ヨの注目度は依然として高そうだ。

●ドライバー不足による運賃アップは必至

ドライバー不足の波は今後、危険物物流の分野でも深刻なテーマになりそうだ。現状では、需要が減っている石油など燃料輸送の分野からケミカル輸送の会社に転職してくるケースもあり、一部では足元の不足感は薄れているものの、近い将来では確実に不足するというのが関係者の一致した見通しだ。そのためにも、運賃を値上げしてドライバーの待遇を改善していく取り組みは不可欠であり、「運べない時代になれば運賃アップは必至」との認識が大半だ。

危険物の輸送が難しくなっていく背景には、特積トラック事業者による危険物荷受け停止や数量制限が増えていることも要因のひとつ。そのため、一部の物流会社で取り組みが始まっている危険物の混載便事業に期待が集まっているが、価格面やニーズのとりまとめで苦労しているとも伝えられている。

その一方、大手化学メーカー主導による危険物倉庫の共同利用や共同配送の動きも始まっている。物流事業者も今後、共同化や協業をにらんだ事業展開が求められていきそうだ。

カーゴニュース 5月31日号

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