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物流業界ニュース(物流/運送情報)

スケジュールが遅れ気味なドライバーの労働時間短縮のパイロット事業

 取引環境・労働時間改善協議会ではトラックの下請け構造も課題に

トラックの取引環境・労働時間改善協議会では発注側である荷主の問題のほか、トラック業界内部の下請け構造も改善も課題に?――。
 国土交通省の藤井直樹自動車局長は6月28日、専門紙との記者会見で、スケジュールが遅れ気味なトラックの労働時間・取引環境改善協議会について「荷主の方に聞いても、付加業務に対しては料金も払っているが、実際にトラック事業者に聞くと「もらっていない」という回答が多い。この問題は解明しないといけない」と語った。

国土交通省と厚生労働省は昨年度、トラックと荷主との取引環境改善を通じてドライバーの労働条件改善や生産性向上を目指す中央協議会と、47都道府県全てに地方協議会を設けた。今年度は、ドライバーの具体的な時間労働の改善に向けたパイロット事業(実証実験)の実施に入る予定で、都道府県ごとに労働局と運輸局が地元の荷主企業に対して、具体的な事業内容について協力を要請しているといわれてきたが、これまでのところ国土交通省に具体的なプロジェクト内容があがってきている例は多くない。国交省としては地方協議会での議論とパイロット事業の選定などがある程度進んだ段階で今年度の第1回中央協議会を開く考えだったが、まだスケジュールも決まっていない状態だ。

これはドライバーの労働時間短縮につながるパイロット事業の選定にあって、パイロット事業になかなか荷主が参加してくれないというためだともいわれているが、藤井局長は同時に「トラック事業者の中での契約慣行をどうするかという課題も突きつけられている」という見方も示した。

この協議会は、ドライバー不足の中、19年4月から中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金率の適用猶予廃止が労基法改正によって実施されるということが大きな要因となって開かれたわけだが、肝心の労基法改正は参院選後になり、実施時期がズレ込みそうだ、ということもやや停滞している原因のようだ。

●トラック事業者の契約慣行改善も課題に?

藤井局長は「労働時間の短縮と取引環境改善をどうやって実現するかは言うは易く行うは難しだ。このため、ベストプラクティスを少しでも出して行こうということで、地方協議会を通じたパイロット事業を進めている。そういった意味ではまだ試行錯誤の段階」とした上で、パイロット事業としては「時間指定の配送の見直しなどがあがっている。これは朝早く時間指定されると効率が悪くなり、積載率も下がるので、午後に指定してもらうと上がるのではないか、というもの。少しでも、どうやったら労働時間が短くなるのか、労務提供に見合うおカネがとれるのか様々なトライを全国でやり、集約していきたい」としているものの、当日の段階ではパイロット事業の計画があがっているのは北海道、福島、富山、沖縄ぐらい。

「それぞれの地域の事情があるし、もともと荷主とどうしたら話せるかということで協議会はスタートしたが、取引条件の話しをしていくと、荷主の問題もあるが、トラック業界の中の下請け構造も問題だろうと思う。荷主の方に聞いても、付加業務に対しては料金も払っているが、実際にトラック事業者に(アンケートなどで)聞くと『もらっていない』という回答が多い。この問題は解明しないといけないが、下請けが何重かになっている中で、最後に運ぶ人がもらえていないということがあるのではないか。トラック事業者の中での契約慣行をどうするかという課題も突きつけられている」と述べた。

トラック側では25件の計画が決まり、13件が策定中で、9件が検討中としているが参議院選挙が始まったことなども含めてスケジュールは遅れ気味。関係者によると「荷主の参加を呼びかけている労働基準局をもってしてもなかなか協力は得られない」という。  また、前回の中央協議会では、トラック側の要請で運賃、附帯作業の料金化のワーキンググループを設置することが決まったが、そのWTの開催スケジュールも「まだ決まっていない」としている。

「イメージ的なことを言えば『(トラック事業者の)代わりなどいくらでもいる』という状況ではなかなか変われない。しかし、人口減少でドライバー不足となることは目に見えている。生産人口が減っていき、すでに人の取り合いを日本中でやっている。いまのような、どんな条件でも(仕事を)引き受けてしまう、役務提供をやるという状況は続かないのではないかとは思う。それをトラック業界全体でも考える必要が出てくるのではないか。協議体をつくり、そうした枠をとったことは重要だが、実際にどういうことをやるということが出てこないと次のステージに出て行けない。貨物課に対しても早く進めてくれと言っている」としているが...。

●トラックでは女性ドライバーの統計でも課題が

このほかドライバー不足問題では、女性活用について「中継輸送で『通い』でもいけますよという工夫や、女性ならでは特性を生かして地域配送でのメリットも考えられ、すでに大手宅配では始まっている」としながらも、交通基本計画でも20年度までに「2万人を4万人にする」という数値目標が「万単位でしかとれていないのも問題で、きちんとトレースできるように、トラック協会と話していていきたい」とも述べていた。

カーゴニュース 7月5日号

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