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  4. 【インタビュー】富士物流 代表取締役社長 渡部能徳氏

物流業界ニュース(物流/運送情報)

インタビュー 富士物流 代表取締役社長 渡部能徳氏

 「『ライフサイクルマネジメント』に対し一貫物流サービスを提供」
 「一連の機能を『単品』ではなく、『コースメニュー』に」

富士物流(本社・東京都港区)では、メーカー物流のノウハウと親会社である三菱倉庫のネットワークを強みに、サードパーティー・ロジスティクス(3PL)企業としての存在感を高めていく。2016年度からスタートした新中期経営計画では、富士物流の特色をいかした3PLのさらなる拡大と、ライフサイクルマネジメント(LCM)に着目した一貫物流サービスが2本柱。6月30日に就任した渡部能徳社長は「新中期経営計画の実行にあたってはスピード感を持って取り組み、スタートダッシュが重要だ」と話す。環境変化を踏まえた富士物流の3PL戦略について、渡部社長に聞いた。(インタビュアー/石井麻里)

――事業環境と顧客のニーズはいかがでしょうか。

渡部 当社の主要なお客様は海外生産を加速させていますので、物流面でのサポートを当社に期待されています。例えば、タイなど一部の拠点では既に開始していますが、当社の拠点がない地域については、三菱倉庫のネットワークを活用して対応していきたいと思います。全般的に言えることですが、お客様は海外展開を進める一方で、残った国内物流では、トラックドライバーや倉庫の作業員不足に直面しながら物流機能をどう維持するかという課題を抱えています。当社としては、RFIDやロボットをはじめ省力化・省人化に資する新しい技術を駆使しながら、業務を確実に遂行することが求められています。

――富士物流といえば3PLの代表的プレイヤーですが、事業展開で変化はみられますか。

渡部 3PLの拠点となる倉庫の視点でみると、物流不動産会社が大型の賃貸用物流施設を供給し、その施設を使って3PL企業がオペレーションを行うケースが増えています。当社はいままでこうした施設をあまり活用してきませんでした。しかし活用しないという方針を持っているわけではなく、状況に応じて柔軟に検討していますし、協業の可能性もあるかもしれません。物流不動産会社は施設を提供しても、オペレーションの管理は業務範囲ではありません。彼らが建てた施設に入居するお客様のオペレーションを当社が請け負うというスキームも考えられます。こうした“協業”は当社にとってビジネスチャンスでもあり、お客様、物流不動産会社、当社の3者にとってメリットが見込まれます。

――新設の賃貸用物流施設は賃料が高く、オペレーションコストに影響しませんか。

渡部 土地の価格が安い郊外にも施設が増えており、立地によっては賃借料も比較的リーズナブルです。なお、当社では従来から、お客様の施設内での物流業務運営サービス「F―OHGS(エフ―オーグス)」を提供しています。「富士物流(F)お客様(O)ホーム(H)グラウンド(G)サービス(S)」の略で、メーカーの物流部門として創業以来、構内物流や工場倉庫を運営してきたノウハウをいかし、工場内や顧客の自社倉庫、物流センターの物流業務を請け負うものです。

――自社の施設以外、お客様指定の施設に出向いてオペレーションすることにはもともと抵抗がないというわけですね。

渡部 はい。将来的には、現在サービスを提供しているお客様の施設が老朽化したり、狭くなってきた場合に、賃貸用物流施設の活用を提案するという選択肢が将来的に考えられます。実際のオペレーションについては、当社の作業子会社(富士物流サポート、富士物流オペレーションズ)との協業体制で、一層の効率化を進めていく必要があります。

一貫性、連続性を持たせたサービスに進化

――富士物流の3PLの特色、強みは何でしょうか。

渡部 スタートはメーカー物流ですが、全国の拠点ネットワークを活用した24時間365日体制の緊急配送サービス、コールセンター業務、「ITドライバー」による設置・保守作業、機器類の搬入・設置、キッティングといった独自のサービスを提供しています。これらの個々の機能を深堀りすることももちろん大事ですが、今後、一貫性、連続性を持たせたサービスに進化させたいと思います。
 「ライフサイクルマネジメント」という観点で、例えば、ある機器を搬入・設置しておしまいではなく、故障時の引き取り、部品交換、保守点検、回収・撤去までのライフサイクルに対し、一貫した物流サービスを提供できないか、と。一連の機能を「単品」ではなく、「コースメニュー」として提供することで一層の合理化が期待でき、既存のお客様からの受託範囲の拡大や新しいお客様の開拓につなげたいと思います。また、将来的に「IoT(Internet of Things=モノのインターネット)」環境が普及すれば、機器のライフサイクルマネジメントと当社の物流サービスを連動させるという展開も考えられるかもしれません。

――RFIDを活用した棚卸ロボットなど新技術への取り組みも3PL企業として差別化になっているのではないでしょうか。

渡部 RFIDについてはタグの価格がもう少し安くなると普及が進むと期待しています。当社では既に運用実績とノウハウがありますので、お客様が工場や倉庫で導入する際に、コンサル的なサービスの提供も考えられます。当社の運用では、RFIDの読み取り率は99.5%ですが、読み取れなかった0.5%の再確認をいかに効率化・簡素化するか――という発想に切り替えています。読み取り率100%にこだわっていたら、いつになっても導入できません。棚卸ロボットで読み取れなかった0.5%について、人手(ハンディターミナル)による再読取りを行ったとしても、棚卸すべてを人手でこなすのに比べて30分の1の作業時間で済みます。棚卸ロボットの機械そのものというより、システム全体をお客様に提案し、最終的に業務の受託までつなげることが理想です。

他社に負けない存在感を発揮する

――3PLのニーズ、市場性についてどうお考えですか。人件費の高騰などで「3PLでコスト削減を約束する」ことが難しくなっています。

渡部 お客様が生産、販売といったコアビジネスに集中し、物流は専門家である物流会社にアウトソーシングする傾向は続き、3PLのニーズはこれからも増えると考えています。コスト削減については、当社は「日々管理」を採り入れており、お客様のどの業務にどれだけの人員を投入しているかを把握し、最適な人員配置に努めています。「日々管理」はマニュアルで行っていますが、今後はこれをシステム化し、業務の簡素化を図るとともに、お客様に対して合理化やコストダウンを可視化することが必要です。また、品質を担保しつつコストを下げるには、ある程度、お客様の業種や業務の集約、「プラットフォーム化」が望ましいと考えます。

――最後に、富士物流のあるべき姿をどう描いていますか。

渡部 発祥がメーカー物流という特色をいかし、電気機械やIT機器などのフィールドで認知度を高めていきたいと思います。先ほどお話しした「ライフサイクルマネジメントに対応した一貫物流サービス」のような独自性、先進性のあるサービスで、他社に負けない存在感を発揮する物流会社でありたいと考えています。

カーゴニュース 8月18日号

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富士物流は、物流・倉庫ソリューションの一括アウトソーシング(3PL)を実現します。