1. 【富士物流TOP】
  2. 物流業界ニュース
  3. 2016年9月
  4. 「適正運賃・料金の収受には、荷主と事業者の交渉と契約書面化が重要」

物流業界ニュース(物流/運送情報)

「適正運賃・料金の収受には、荷主と事業者の交渉と契約書面化が重要」

 検討会では「業界の多層構造を分析・検討すべき」との意見も
 第4回「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」

国土交通省は7日、第4回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会及びトラック運送業の生産性向上協議会を開催した。

今回の協議会では、地方協議会でのパイロット事業の進捗についての報告があった。また7月13日に第1回が開催された「トラック運送業の適正運賃・料金検討会」の議事内容が報告された。さらに、「貨物自動車運送事業の生産性向上のための調査事業」についての報告がされた。

その他に「下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」で議論された「トラック運送業における下請等中小企業の取引条件の改善に関する調査結果が報告された。

●「物流の安定的供給のため、実効性のある取り組みを」藤井自動車局長

協議会の冒頭挨拶に立った国交省の藤井直樹自動車局長は「これまでの協議会によって見えてきたことのうち、トラック輸送での運賃・料金の適正収受などについては、荷主と物流事業者との間で若干の差異があるように見受けられる。また、手待ち時間の削減という課題についても、発荷主の立場と着荷主の立場とでは事情が異なっているようだ」とし、協議会の場を活用し、それぞれの立場からの認識を相互に広げていくこととともに、取引実態や手待ちの実態を精査することが必要だとした。

その上で「適正運賃・料金については、荷主・運送事業者間の交渉が重要であり、しっかり交渉ができる環境を作りが重要となる。契約は民間同士の話だが、行政としてどうのように関わるかも重要な論点となる」とし、交渉のためには書面化が前提となるが、「いまだに多くの中小の事業者でできていない」と指摘した。

トラック運送業の生産性向上については、「サービス業の生産性向上は各省庁と連携しながら進めていく。トラック運送業も対象となっている。政府全体の取り組みとして、下請等中小企業の取引条件の改善に向けて取組んでいるところだ」とした。また、トラック運送業の問題として、「人口減少や高齢化によるドライバー不足に対してどのように対応していくかが課題だ。ドライバーの安定的な収入や適正な労働環境を実現しなければ、物流を安定的に供給することが困難になりかねない。改善へ向けた実効性のある取り組みを進めていかなくてはならない」と述べた。

●パイロット事業で手待ち時間・長時間労働削減を検討

協議会の議題として、最初にパイロット事業の進捗が報告された。7日現在では41都道府県において、パイロット事業を実施する案件が決定している。そのうち24件では着荷主も参画している。荷種の内訳は、食料品10件、農産物6件、紙・パルプ4件、建設資材3件、飲料2件、鮮魚2件、繊維製品2件、その他15件。

パイロット事業で取り組む課題は、(1)発荷主都合による手待ち時間の削減、(2)着荷主都合による手待ち時間の削減、(3)長時間運転や長時間労働による拘束時間の削減、(4)附帯作業に伴う拘束時間の削減――としている。

国交省の加藤進貨物課長は「具体的進捗はまさにこれから始まるが、荷待ち時間と長時間労働の縮減や附帯作業への料金の問題など、課題解決へ向けてしっかりと取り組んでいく」と述べた。

パイロット事業は、コンサルタント等の専門家のアドバイスのもと、実験に参加するトラック運転者の長時間労働等の改善を図るが、実施例としては、(1)荷主及び運送事業者の現状分析、(2)課題の洗い出しと課題に対する解決手段の検討、(3)解決手段の実証実験、(4)検証等――を行っていく。同事業を実施することで明らかになる課題や解決策は、2018年度に取りまとめるガイドラインに反映し、横展開することによりトラック業界全体の長時間労働の是正に繋げる方針。

●検討会では事業者間での運賃制度への意見の隔たりも

中央協議会での取引環境改善に向けた議論に先立って、トラック運送での適正運賃・料金収受に関する議論整理や方向性に関する助言を行うための場として「トラック運送業の適正運賃・料金検討会」が設置され、第1回会合が7月13日に開催された。同検討会では、学識経験者、行政を委員とし、事業者と荷主をオブザーバーとした。

今回の中央協議会で、同検討会の議事内容が報告された。それによると、検討会で運賃・料金に関してトラック事業者からよく聞かれる意見として、(1)目安となる運賃を定めてほしい(荷主等との運賃交渉の目安となる「標準運賃」「最低運賃」等を行政から示してほしい)、(2)原価計算に基づく受注を徹底すべき(原価割れで受注する事業がいる限り運賃の目安があっても無意味。目安運賃があると高値で取れている運賃がそこに張り付き、企業努力が無意味となる。各事業者における原価計算の実施と、それに基づく受注を徹底すべき)、(3)運送以外のコストを適切に収受できるようにしてほしい(待機料金、附帯作業賃、高速料金等を運賃とは別の料金として、適切に荷主等に負担してもらえるような仕組みが必要)――などがあった。

同検討会においては、運賃制度については、トラック事業者の間でも意見の隔たりがあることと、運送以外の業務の料金については、運賃に含めずに別のコストとして適切に反映してほしいという点で立場が一致しているということが理解されていた。また、荷主との取引関係だけでなく業界の下請を含めた多層構造等、運賃・料金が適正に収受できない原因について、分析・検討すべきだという考えもあった。

報告を受けて坂本克己委員(全日本トラック協会副会長)は「業界の多層構造に対して光を当てることは重要だ」と述べ、千原武美委員(同)は「多層構造にからんで言えば中小運送事業者が荷主と直接取引できないことも問題だ」と語った。

●生産性向上のための調査では農産品物流での課題が浮き彫りに

トラック運送業の生産性向上のための調査事業についての報告があった。調査事業は、荷主業種から10業種の対象を選び、実施することとなった。対象とする業種は、特積み、建材、飲料・コールドチェーン、自動車、家電、金属、紙・パルプ、化学、農産品、食品・日用品となった。調査内容は、(1)荷主業界ごとの商慣行・商慣習の調査と対策検討、(2)事業の共同化による積載率向上の事例調査、(3)原価計算のあり方の調査・検討、(4)IoTの活用可能性に係る調査・検討――としている。事例調査を行うことで、他の調査や全国9都市で開催するセミナーに反映させる考え。また、農産品分野での調査について経過が報告された。農産品での課題として、(1)出荷量が出荷当日に決定することや配送先が直前まで決まらないため、配車が困難であること、(2)積載率の低下やパレットが回収できないリスクがあるため、10トン車での手積み・手降ろしの発生があること、(3)各地域から集まる青果物がそろう時間が正確でないため、思い通りの時間に出発できない遅延リスクがあること――などが報告された。それを踏まえ、運送事業者だけでなくサプライチェーン全体で問題の解決が必要になることが見えてきた。

●トラックの取引条件改善では交渉と契約書面化が重要

政府の主催する下請等中小企業の取引条件改善関係府省等連絡会議においては、トラック運送業での取引条件の改善に関する調査結果も検討された。改善に向けては、適正な運賃・料金の収受と契約の書面化が課題として挙げられたことが報告された。

適正な運賃・料金の収受に関しては、の荷主・元請と交渉を行うことが重要であり、交渉しても荷主・元請から不利益を被らない環境を作ることが重要だとされた。また、業界の多層構造により仲介手数料が数次にわたって取られており、適正な運賃・料金収受の妨げの一因になっているとした。

契約の書面化に関しては、適正な運賃・料金収受のため、荷主・元請へ契約の書面化を養成することが重要で、契約書面化を導入できる環境を作ることが重要だとした。

次回の中央協議会は年内に開催する予定。

カーゴニュース 9月13日号

powered by cargo news

富士物流は、物流・倉庫ソリューションの一括アウトソーシング(3PL)を実現します。