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  4. 【話題】最低賃金の上昇、社保適用の拡大で人件費さらに増加

物流業界ニュース(物流/運送情報)

話題 最低賃金の上昇、社保適用の拡大で人件費さらに増加

庫内業務の効率化・合理化にも限界、継続が困難な現場も?

今年も10月に最低賃金が改定され、全国加重平均額は昨年から25円アップした823円となり、全都道府県で最高値の東京都は2015年の907円から932円へ、次ぐ神奈川県も905円から930円へそれぞれ引き上げられた。最低賃金はこの10年間で右肩上がりの上昇を続け、全国加重平均額は07年比で136円アップしたことになる。10月からは社会保険(厚生年金保険・健康保険)の適用範囲も拡大し、倉庫内で多くの従業員を雇用する物流会社にとっては、人件費のさらなる上昇が重くのしかかる。

物流現場では、人手不足などを背景に人件費の高騰が続いており、千葉県の湾岸地域や関東内陸部の大型物流センター集積地などでは倉庫内作業員のアルバイト給与が時給1000円以上からスタートする例も少なくない。こうした中、物流現場では今回の最低賃金改定ではさらなる賃金上昇が求められることとなり、北関東を中心に拠点を展開する倉庫会社では、「最低賃金未満の作業者の契約更改による人件費への影響は約0.5%、金額で月間約50万円の増額に上る」と説明する。

さらに、職場内の“バランス”を保つには、最低賃金以上の従業員の賃金改定も必須となる。最低賃金を支払われる層は、一つの職場に定着しない縁辺労働力――いわゆる“労働市場における浮動層”が多い。こうした層の賃金を上げるのであれば、習熟度の高い社員の給与も引き上げなくては現場全体のモチベーションを維持できず、「業務の習熟度を考慮した新たな賃金体系が必要」と考える会社は多い。今年8月に発表された日銀のレビューでも、最低賃金の上方改定時には賃金水準の下位30%程度まで賃金の押し上げ効果を持つことが示唆されており、先の倉庫会社は、「その部分の影響額は現時点では全部把握できていない」と話す。

人件費の上昇に対し、物流現場ではこれまで以上の合理化、効率化による経費削減が求められることになる。ある倉庫会社では「流通加工業務における短時間パートの有効活用や拠点間での人材の融通、作業平準化の努力を続けていく」とし、別の倉庫会社でも「拠点エリアごとに繁閑を見極め、それに合わせて人員を移動させるなど、適切な人員配置を引き続き行っていく」として人材の高度活用を図る。将来的には、AIやロボットといった省人化を支援する最新技術の実用化にも期待が寄せられる。

ただ、物流会社単体での経費削減には限界もある。「合理化の努力は行っているが限度があり、お客様に事情を話して負担を理解してもらうつもり」(倉庫会社)として荷主企業への交渉を視野に入れたり、荷主と相談しながら作業の平準化や簡素化を進めたりする会社もあるが、庫内業務を受託する3PL会社などでは「(受託料金の値上げを)交渉しているが、泣き寝入りするしかない状況」という会社も少なくない。

「賃金上昇分のコスト負担を販売価格に転嫁できる外食産業などと違い、受託時の契約に基づいて荷主企業から料金が支払われる物流現場で最低賃金上昇への対応は非常に困難。生産性向上への取り組みも限界まで来ており、物流業界では業務そのものが維持できなくなる会社や現場もあるだろう」との厳しい指摘もある。

社会保険適用範囲の拡大では、(1)勤務先従業員が501人以上、(2)雇用期間が1年以上、(3)週20時間以上の勤務、(4)1ヵ月の給料が8.8万円以上、(5)学生ではない――との条件を満たす従業員の厚生年金保険および健康保険への加入が義務化される。この結果、対象となる企業では従業員の希望に応じて勤務時間の短縮などが対策として考えられるが、短時間労働者の増加は管理の煩雑化や採用費用の増加、引いては人件費全体の上昇に繋がり兼ねない。さらに、今回適用対象となる企業から500人以下の企業への人材の流出なども想定されている。

カーゴニュース 11月10日号

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