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物流業界ニュース(物流/運送情報)

インタビュー日本運搬車両機器協会会長吉田晴一氏

国際規格に即した規格制定に向け本格始動

荷役作業の効率化や、安全で快適な作業の実現に欠かせない運搬車両機器。台車やハンドリフトなど物流現場を支える機器として長らく愛用され、作業者に密着した「最後のマテハン」として存在感を示している。就任1年を迎えた日本運搬車両機器協会の吉田晴一会長(ハンマーキャスター社長)にこの1年を振り返ってもらうとともに、今後の協会活動について話を聞いた。

――会長に就任して1年が経過しました。

吉田 非常に多忙な1年でしたが、花岡徹前会長が築きあげてきた体制を踏襲し、協会員の皆さんの協力ももらいながら、1年間進めることができたと思っています。

 ――この1年の協会活動を振り返ってください。

吉田 各部会、委員会とも、様々なテーマのもと活動しました。一例として、ハンドトラック部会では日本パレット協会との間でドーリーとロールボックスパレットの取り扱いについて協議を重ね、ロールボックスパレットを日本パレット協会が、ドーリーを当協会が扱うことになりました。また、自動走行機能が付いた小型リフトについて課題が浮上してきたことから、リフト部会が中心となり日本産業車両協会との間で協議が進んでいます。

 ――どのような課題ですか。

吉田 小型リフトは狭い場所でのパレット移動などを可能とする歩行型リフトです。種別上、作業者が乗って操作する一般的なフォークリフトとは区別されており、点検など法的な決まりも異なります。近年、作業の効率化・省力化などの観点から、電動による自動走行機能が付いた小型リフトが増えてきており、作業者の負担軽減を考えたこうした機器が登場することは喜ばしいことですが、一方で、自走機能があるということはフォークリフトの種別に属するのではないか、という話が出てきました。フォークリフトと同じ種別であればそれと同等の運用が必要となりますが、この点が明確となっていません。メーカーとユーザーの双方にとって安全で安心な製品づくり、運用が求められている中、こうした問題を放置しておくことはできません。日本産業車両協会と協議を重ね、解決していきたいと思います。

2つの懸案事項にいよいよ着手

――長年の懸案事項についても着手したと聞いています。

吉田 2つあります。1つは業界の市場規模の把握です。国内に流通している運搬車両機器は、当協会員以外の業者や海外からの輸入品なども相当数存在していると思われますが、その実態がつかめず、市場の全体像が把握できていません。例えばキャスターの場合、キャスター部会に参加しているのは14社ですが、私が把握している限り全国には50社前後のキャスターメーカーがあると思われます。そのすべてから正確なデータがとれるかは正直不透明です。また、運搬車両機器以外の企業がオリジナルで製作している可能性があることも、実態把握を難しくしている要因のひとつとなっています。こうした状況下での統計調査は困難が予想されますが、それを理由にいつまでも手をこまねいているわけにもいきません。現在、調査対象企業のピックアップを進めており、今期中に実施できるよう準備しています。

――もうひとつは、国際規格との整合性の検討ですね。

吉田 はい。これに関しては経済産業省からも強く要請されており、いよいよ本格的な議論をスタートさせました。車輪・キャスターについては、JIS規格では「車輪」と「キャスター」に分かれて制定されていますが、ISOでは統一規格として細かく決められています。そのため、単純な比較やすり合わせが困難で、どのように整合性を図っていくかが課題となっていました。われわれの産業は国内のみならず海外との取引がますます重要になってきますので、国際規格に即した規格の制定は不可欠です。そこで、まずはその足掛かりとして、今年5月のキャスター部会の全体会議で、実務者レベルによる協議を進めていくことを決めました。各社の実務担当者から忌憚のない意見を出し合ってもらうことで問題点を洗い出し、国際規格に準拠した規格制定の第一歩としていきます。

――いつ頃の制定を目指していますか。

吉田 検討していく内容が多岐にわたり難航することも予想されるため、次回のJIS改定時(2020年)は難しいと思っています。問題点を一つひとつ着実にクリアにしていくことが結果的に業界のためになると考えていますので、その次の改定時(25年)の制定に向け進めていきます。

安全最優先の製品づくり

――運搬車両機器業界の景況感はいかがでしょうか。

吉田 堅調な日本経済と同様、各社とも順調に推移していると思います。ご存知のとおり、物流企業にとって今や人材は非常に貴重な存在であり、作業者にかかる負担をいかに軽くできるかが問われる中で、われわれの機器が注目されているのではないかと考えています。

――物流業界の現状を踏まえ、会員企業の製品づくりに変化はみられますか。

吉田 各企業とも、物流業界の労働力問題を見据えた製品開発を一層活発化させています。また、人が直接扱う機器を製造する立場から、安全面には特に配慮しています。あらゆる事故を想定しそれを回避する製品づくりを心掛けるとともに、万が一の事故や危険が生じたときはすぐに対策を講じます。重大事故の発生はメーカーにとっては死活問題です。ユーザーの安全性を最優先に考えることは協会員すべてに共通しています。われわれは大掛かりなシステムの構築ではなく人に密着した製品を扱っていますので、人がいかに便利に、安全に扱えるかということを第一に、ユーザーの意見も聞きながらさらに改良は進んでいくのではないでしょうか。

――AIなど新技術の活用についてはどのようにお考えですか。

吉田 われわれはシステムを作っているわけではないので、他業種メーカーとのコラボにより、新技術を活用した物流システムの一部にわれわれの製品をどう活用できるか、といったことを考えていくことが現実的だと思います。

企業間の窓口となって情報の吸い上げ、発信を

――今後の協会運営の抱負をお聞かせください。

吉田 やはり、魅力ある協会にしていくことに尽きると思います。ライバル企業の集まりではありますが、自社だけでは解決が困難な局面に遭遇した場合に他社と情報を交換・共有することで、解決につながることもあります。協会はそうした企業間の窓口となって要望や情報を吸い上げるとともに、部会や委員会で議論したり関係各所と折衝を重ねたりしながら解決に導き、正しい情報を発信していくことが重要な役割です。そうすることで協会の価値も上がり、会員増強にもつながります。技術は速い速度で発展しています。そうした中で協会として何ができるか、どんな発信ができるかを常に考え、行動していきたいと思います。

カーゴニュース6月28日号

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