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物流業界ニュース(物流/運送情報)

JILS、国際物流混乱、7割の荷主で経営に影響

「スペース確保難しい」9割に及ぶ

日本ロジスティクスシステム協会(JILS、遠藤信博会長)は12日、国際海上輸送を中心とした国際物流の混乱に伴う荷主企業の物流、サプライチェーンへの影響に関する調査結果の詳細版を発表した。同調査は昨年12月14日から24日にかけて、JILS会員の荷主企業310社を対象にWeb回答方式で行われ、62社から有効回答を得た。それによると、荷主企業の約7割が国際物流の混乱によって経営(売上・利益)に大きな影響を受けていると回答。特に海上輸送のスペース確保においては「難しい」と答えた企業が約9割に及ぶなど極めて厳しい結果となり、輸送モードの見直しや入札・契約の条件変更・交渉などで難しい対応を迫られている。。

<2>輸送コスト高騰、海外向け企業を圧迫

生産への影響については耐久消費・生産財系の荷主で79%が「大きい」と答え、消費財系の荷主の42%に対し37ptの差が生じた。品薄による原材料調達の難しさなどから生産量や品目の調整を余儀なくされ、生産計画に乱れが生じる企業もあった。また、販売・出荷への影響では、耐久消費・生産財系では87%が「大きい」と回答。消費財系でも55%に及んだ。多くの企業が輸送コストの高騰が要因と答え、出荷製品の減少や製品価格見直しがそれに続く。販売量の急減が在庫増加を招き、管理コストがかかってしまうなどの事例も見られた。原材料の調達や仕入れの影響については耐久消費・生産財系で86%、消費財系では67%が「大きい」と回答。原材料の品薄発生と運賃価格の高騰が要因の大きな割合を占め、調達先の生産量減に伴う材料不足や、空輸利用シフトによる輸送コスト増といった問題が報告されている。輸出入先が多岐にわたる海外向け企業において輸送コストの増加は大きなダメージに繋がりやすい。特に耐久消費・生産財系の荷主企業には生産や売上における海外比率の高い企業が多く、消費財系の荷主企業と比べ、生産・販売において物流混乱による影響の受けやすさが目立つ結果となった。

入札や契約で交渉長期化などの負担増

輸出入における航空・海上などの輸送モードの割合の変化については、消費財系ではほとんどの企業が「変化はなかった・少なかった」と答えたのに対し、耐久消費・生産財系では54%の企業が「大きかった」と答え、全社が海上から航空への代替えが増えたと回答。さらに、深刻化するスペース不足に対し、耐久消費・生産財系では53%の企業が海上輸送の契約先を増加し、66%が四半期未満のスポット契約を増やすなどの対応を取っている。現状は短期契約であるものの、来期以降は複数年で契約を織り交ぜるといった企業もあった。こうした状況から、入札・契約などのオペレーションにおいて、課題を指摘する意見が多く寄せられた。他社へのブッキング依頼などによるイレギュラー対応や交渉の長期化といった負担の増加に加え、前年との比較の難しさから見積もりの提示が出来ない・してもらえないなどの声が挙がり、問題の複雑化が浮き彫りになった。このほか、コロナ禍での組織やシステム等の再編・見直しの実施については、過半数の企業が「実施した」または「実施予定」と答えた。予定も含む主な実施内容として、調達先や発注単位の変更、物流業務の機能集約や需要予測システム改修、自社保管スペース拡張による在庫量の確保といったものから、テレワークの推進などの細やかな施策も挙げられた。  

カーゴニュース1月25日号

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