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物流業界ニュース(物流/運送情報)

トラック中央協議会 待機解消へ厚労省が着荷主対策へ本腰

公取委が初参加、独禁法執行を強化

国土交通省と厚生労働省は2月25日、トラックの長時間労働削減と生産性向上の方策を検討する第14回「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央業議会」と第13回「トラック運送業の生産性向上協議会」の同時会合(トラック中央協議会、委員長=野尻俊明・日通学園理事長)をオンライン方式で開催した。国交省、厚労省、中小企業庁が最近の施策を報告。公正取引委員会が初めて参加し、政府の価格転嫁政策に基づく公取委としての取り組みを説明した。また、全日本トラック協会(坂本克己会長)の独自調査の結果、依然として「荷待ち時間の恒常的な発生」が深刻な課題であることが浮き彫りになったことを受け、厚労省は国交省とともに荷主対策に本腰を入れることを表明した。  

商用車、8t超は20年代に5000台を先行導入

17日に開催された、経済産業省の産業構造審議会グリーンイノベーションプロジェクト部会産業構造転換分野ワーキンググループで、「『スマートモビリティ社会の構築』研究開発・社会実装計画案」として提起された。50年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略では、商用車について8t以下の小型車では30年までに、新車販売で電動車20〜30%、40年までに電動車と合成燃料等の脱炭素燃料の利用に適した車両で合わせて100%を目指し、車両の導入やインフラ整備の促進などの包括的措置を講じるとされた。8t超の大型車については、商用用途に適する電動車の開発・利用促進に向けた技術実証を進め、20年代に5000台の先行導入を目指す。また、水素や合成燃料等の価格低減に向けた技術開発・普及の進捗も踏まえ、30年までに40年の電動車の普及目標を設定する。

着荷主の協力なしに告示遵守は困難

全ト協の独自調査は昨年10月に東神トラックステーション(TS)、浜松TS、大阪TSの3ヵ所を利用するドライバーを対象に実施。積み込み先や配送先で困ったことを聞いたところ、「荷待ち時間の恒常的な発生等」が38%と最多で約4割を占めていた。次いで「待機場所がない」が62(11.3%)と多く、「(高速道路料金の)深夜割引制度を見直してほしい」と「異常気象によるトラブル等」が続いた。全ト協副会長の馬渡雅敏委員は「荷主都合による待機時間は国交省の取り組みの効果もあり、発荷主では徐々に改善されてきている。一方、着荷主からの待機指示はいまだに減っていない状況だ」と報告し、「われわれ事業者は直接の契約関係がない着荷主に対して改善を申し入れることはほとんど不可能だ」とあらためて強調。着荷主の協力が得られない場合、改正作業が進む新たな「改善基準告示」の遵守も「非常に困難」と指摘した。これを受け厚労省の担当者は、「長時間労働の主要因は待機時間にある」との指摘を認めた上で「国交省と連携し、全ト協の協力を仰ぎながら、厚労省としても荷主対策に取り組んでいく」と表明。これまではドライバーの労働時間改善に向けた「荷主対策」は、主に国交省と荷主を所管する農林水産省・経済産業省が担ってきたが、厚労省からも本腰を入れる方針が示された。

再発防止不十分で報告書提出を要請

また、今回の会合には公正取引委員会が初参加。政府の価格転嫁政策に基づき、公取委が独占禁止法・下請法に基づき実施する施策について説明した。具体的には、下請け事業者が違反行為を行っていると疑われる親事業者に関する情報を匿名で提供できる「違反行為情報提供フォーム」を設置。今後は公取委と中小企業庁、荷主所管官庁が連携し、法違反が多いと認められる業種にはコンプライアンス遵守状況を自主点検するよう要請する。独占禁止法の執行も強化する。荷主の優越的地位の濫用に係る調査を行うため対策調査室を設けた。人件費や燃油費など主要なコスト価格の上昇を取引価格に反映しない場合、「買いたたき」に相当することを明確化した。下請け相談窓口を活用し親事業者への立ち入り調査の件数を増やし、取り締まりを強化。再発防止が不十分な事業者に対し改善報告書の提出を求める。加えて、違反につながる行為を行っている可能性のある事業者を優先的に調査する情報システムも構築する。

ドライバー賃金上昇、方針や目標の整理を

意見交換では、全日本運輸産業労働組合連合会(運輸労連)中央執行委員長の難波淳介委員が行政の取り組みについて疑義を呈した。難波氏は「協議会での議論では、ドライバーの賃金引き上げも目標だ。その一方で経産省と国交省はフィジカルインターネット実現会議を主催し、賃金上昇がサプライチェーンの安定的維持を圧迫するとの意見が出ているようだ」とし、行政側の方針や目標の整理の必要性を提言した。

カーゴニュース3月3日号

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