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物流業界ニュース(物流/運送情報)

物流コスト、上昇圧力一段と強まる

燃料費高騰、国際物流の混乱で

物流コストの上昇圧力が強まっている。ロシアによるウクライナ侵攻で原油相場は急騰。ロシア産原油の禁輸措置の広がりで供給不安が増しており、国内物流における燃料費の高騰は歯止めがかからない状況だ。国際物流では、ウクライナ・オデッサ港の閉鎖、ロシア・ベラルーシ向けサービスの停止、領空閉鎖によるう回輸送など海上・航空輸送網の混乱が広がっており、グローバルサプライチェーンの供給制約がさらなる物流コスト上昇を招く可能性がある。「物流コストインフレ時代」がいよいよ現実のものとして立ちはだかる。

21年度の物流コスト比率は過去最高

物流コストの上昇機運はすでに顕在化しつつある。日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が発表した2021年度物流コスト調査によると、全業種平均の売上高物流コスト比率は5.70%(速報値)で、前年度比0.32ptの上昇。近年の物流事業者からの値上げ要請などを背景に20年度調査で5.38%と14年ぶりの5%台を記録したのに続き、21年度調査では過去20年間の調査で過去最高水準となった。同調査は20年時点の状況をアンケートしたもので、調査対象期間は主に20年度だ。軽油価格の上昇が顕著になった21年度の状況は反映しきれていない。全日本トラック協会の調査によると昨年6月以降、ローリー買いの軽油価格は1リットルあたり100円台で推移し、直近では110円台に上昇。資源エネルギー庁が発表した7日時点の軽油の店頭価格は1?あたり154.2円で9週連続の値上がりが続く。こうした状況を加味すると、足元の物流コストはさらに上昇していることは間違いないと言えそうだ。

コスト上昇に価格転嫁政策、地政学リスクも

帝国データバンクによると、燃料価格の高騰を受け、2月時点における「運輸・倉庫」の仕入単価DIは72.1と08年8月(72.7)以来の水準まで上昇した。現状では、販売単価DIは51.9と仕入単価上昇との乖離幅が大きい。こうした中、政府は価格転嫁を強力に促す施策パッケージにより、燃料費高騰分を考慮しない荷主と物流業者の取引を規制する姿勢を強めており、政策的に物流コストが押し上げられる可能性も出てきた。コンテナ輸送の目詰まりや海上・航空貨物スペースのひっ迫により運賃が高騰し、1月の日銀のサービス価格指数は外航貨物輸送が126.4、国際航空貨物輸送が163.5と異常値とも言える高水準が続く。そこにロシアのウクライナ侵攻という新たな地政学リスクが加わった。黒海商業港の閉鎖や領空閉鎖による輸送制約により、すでに一部減便やう回輸送によるリードタイムの延長などの影響が起きている。う回による燃料費負担増による運賃値上げも予想される。国際物流関係者からは「物流混乱に拍車がかかっており、コストのさらなる上昇が避けられない」との見方が多く出ている。地政学リスクの高まりは「経済性」を重視してきたグローバルサプライチェーンのロジックにも変化を迫ることになりそうだ。

カーゴニュース3月17日号

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