1. 【富士物流TOP】
  2. 物流業界ニュース
  3. 2022年5月
  4. 標準運賃告示から2年、浸透は道半ば

物流業界ニュース(物流/運送情報)

標準運賃告示から2年、浸透は道半ば

「平成」から「令和」へ移行進まず?

トラック業界の運賃の底上げを目的とした「標準的な運賃」の告示から24日で2年が経過する。国土交通省やトラック業界の普及促進策により、2月末時点の全国の事業者数に対する運賃変更届出件数の割合は約45%で、全日本トラック協会の会員事業者の約6割が届出を行っているが、実勢運賃は「標準的な運賃」をはるかに下回るレベルにあり、実態としては「平成」から「令和」のタリフに移行できていない。

2年間で届出率は44.5%まで上昇

「標準的な運賃」は2018年12月に成立した改正貨物自動車運送事業法の主要施策。24年4月からドライバー職に罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されることを踏まえ、ドライバーの賃金を是正するため、適正な利益を確保する「目安となる運賃」として20年4月24日に告示され、23年度末まで時限的に運用される。告示の時期が新型コロナウイルス感染症の拡大の時期に重なったことから、トラック運送事業者と荷主の協議が進まず、当初は、届け出が低迷した。「標準的な運賃」は23年度末の時限のため、まずは「届け出」を先行させたことで、届出率は次第に上昇。2月28日時点で届出率は44・5%となり、2社に1社は届け出を済ませたことになる。

「標準的な運賃」適用に対する“悲観論”も

ただ、「標準的な運賃」が普及しているかというと必ずしもそうではない。荷主に聞くと、「『標準的な運賃』のことは知っているが、実際に交渉の場で接したことがない」、「最近ようやく『昭和』のタリフがなくなり、『平成』のタリフになった」などの声もあり、「令和」の運賃はいまだ浸透していないようだ。東京都トラック運送事業協同組合(東ト協連)が組合員に行ったアンケート(1月末時点)では、「標準的な運賃」について41.9%が「適用したい」と回答したが、「適用したいができない」(25.1%)、「適用できるかわからない」(19.8%)、「適用しない」(11.4%)を合わせると56.3%となり、適用に対する“悲観論”もみられる。

コスト上昇、事業継続に向け価格改定は不可避

足元では、ロシアによるウクライナ侵攻や中国のゼロコロナ政策を受けた生産活動への影響、物価上昇による消費減退も重なり、荷動きの悪化が見込まれる。一方で、燃料価格の高騰、タイヤ、尿素水などあらゆるコスト増加が増加し、トラック運送事業者の利益を圧迫。事業継続に向けた価格改定は不可避となっている。原油価格高騰やコロナ禍の状況で、全ト協では国からの荷主への働きかけの強化を要望している。ただ、昨年10月に経済産業省が行った調査では、直近の1年間にトラック運送では「発注側企業に協議を申し込まなかった」が52.9%と5割を超えており、「標準的な運賃」」の浸透には価格交渉に関する当事者意識の向上も欠かせない。

カーゴニュース4月26日号

powered by cargo news

富士物流は、物流・倉庫ソリューションの一括アウトソーシング(3PL)を実現します。