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物流業界ニュース(物流/運送情報)

厚労省/告示改正トラック部会 着荷主への働きかけ、「制度化」検討

労組側は「休憩」の明記求める

厚生労働省は19日、トラック輸送業の改善基準告示改正を検討する労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間専門委員会トラック作業部会の第5回会合を開催した。使用者側・労働組合側の双方で改正項目について意見交換を行ったが、今回の会議でも合意に至らなかった。改正案のとりまとめは7月を目指しており、次回会議で双方の意見を踏まえた素案を提出したい考え。前回会議では使用者側が長時間待機の発生要因である着荷主への指導を要望していたが、厚労省は荷主に働きかけを行う制度の創設に向け、検討を開始したことを明かした。

着荷主への是正働きかけは光明

使用者側の日本通運取締役執行役員の加藤憲治氏は「長時間待機の大半は着荷主の現場で発生している。是正のためには強い圧力が必要だ」と発言したことを受け、厚労省の担当者は個々の荷主に対する働きかけを行うことが重要との認識を示した上で「労働時間設定改善法に基づき、荷主に対して改善への協力要請を行える」と説明。次回会議には荷主に是正を働きかけるための制度のあらましを提示するとした。厚労省の発言を受け、使用者代表の全日本トラック協会副会長の馬渡雅敏委員は「実態として着荷主からの指示を運送業者が断ることはできない。荷待ちや附帯作業などの指示により長時間労働が発生していても、直接の契約関係のない着荷主に対しては、われわれトラック事業はもの申す≠アとができなかった」と述べ、「厚労省が着荷主に対し、長時間待機の要因となる行為について是正を働きかけることは事業者にとって光明≠セ」と歓迎。「改善基準告示を遵守するためには、その内容が運送の実態を反映したものでなければならない。ドライバーの健康を守りたい気持ちは事業者も労組も行政も同じだ」とし、改正に向けて議論を重ねていく意欲を表明した。現行の改善基準告示では、連続運転時間は4時間と規定している。これについて労組側は運転離脱の時間を使って荷積みや荷降ろしを行わせることが通例で、実際には、「休憩を取らせずに働かせることもある」と指摘し、「過労死防止が改善基準告示を改正する意義として最重要。その観点から、労働基準法上の『休憩』の概念を改善基準告示に明記すべき」と主張した。

荷主都合、例外扱いで骨抜き≠ノ

これまでの議論で、使用者側は、災害時に要請を受けて行う緊急輸送の実施の場合は、改善基準告示の例外的に取り扱われることを踏まえ、荷主都合による遅延も拘束時間・運転時間などの規制適用から外すべきだと意見を述べている。これに対し、労組側は反対意見を表明し、全日本運輸産業労働組合連合会(運輸労連)中央執行委員長の世永正伸委員は、「荷主都合による遅延を例外的取り扱いに含めると、全ての規制が骨抜き≠ノなってしまう」と述べた上で、「荷待ちの指示が発荷主によるものか、元請け運送業者によるものか判別しにくい。実態がよくわからない以上、例外的な取り扱いを認めるべきか検討すべきでない」と持論を展開した。

カーゴニュース5月24日号

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