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物流業界ニュース(物流/運送情報)

公取物流事業者との問題取引で荷主に文書

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公正取引委員会は5月25日、昨年10月に開始した荷主と物流事業者との取引に関する調査の結果を公表した。問題につながるおそれのある事例としては、10時間超に及ぶトラックの長時間待機や、値上げを申し出た際に、取引先の変更をちらつかせる行為、通関手続きの際に関税・消費税を荷主が通関業者に立替払いさせることも挙げられた。公取では、荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を効果的に規制する観点から、独占禁止法に基づき「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」を指定し、その遵守状況や荷主と物流事業者との取引状況を把握するため、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を継続的に行っている。具体的には、荷主と物流事業者との間の物品の運送または保管に係る継続的な取引を対象に、荷主および物流事業者向けに書面調査を実施。書面調査の結果を踏まえ、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の転嫁拒否が疑われる事案について、荷主19名に対する立入調査を行った。書面調査と立入調査の結果を踏まえ、独占禁止法上の問題につながるおそれのあった荷主641名に対し、具体的な懸念事項を明示した文書を送付。内訳は製造業が43.7%で、上位3位は「その他」を除くと「食料品製造業」(5.5%)、「生産用機械器具製造業」(4.8%)、化学工業(4.7%)の順。卸売業、小売業は34.3%だった。注意喚起文書を送付した荷主の行為類型別内訳は、「不当な給付内容の変更およびやり直し」が最多の47.6%。「代金の支払遅延」(21.8%、「代金の減額」(12.5%)、「不当な経済上の利益の提供要請」(6.0%)が続いた。「不当な給付内容の変更およびやり直し」の事例では、「荷主は、物流事業者に対し、10時間以上の待機をさせたが、待機料金を支払わなかった」(食料品製造業)、「荷主は指定した配送先に誤りがあったことを理由に、別の配送先に配送をさせたが、追加費用を支払わなかった」(道路貨物運送業)などが挙げられた。「不当な経済上の利益の提供要請」の事例では、「荷主が通関手続において発生する関税・消費税を荷主において直接支払わず、物流事業者に対し、立替払いをさせた」(家具・装備品製造業)など、長年問題となっていた通関業者の立替払いにもメスが入った。このほか「買いたたき」では、「荷主は、物流事業者から運賃の引上げを求められたが、ほかにも低価格で運送を行う物流事業者が存在するとして取引先変更の可能性がある旨通告し、引上げに応じなかった」(窯業・土石製品製造業)ケースや、契約交渉の際の荷主による“門前払い”も問題取引とされた。公取では、今回の調査結果を踏まえ、荷主・物流事業者を対象とする講習のほか、関係省庁・関係団体を通じて周知徹底を図り、違反行為の未然防止に向けた取り組みを進めていくとともに、違反行為に対しては厳正に対処。「今後も引き続き、荷主と物流事業者との取引に関する調査を継続して実施していく」としている。

カーゴニュース5月19日号

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