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物流業界ニュース(物流/運送情報)

国交省/公取委/厚労省 行政が荷主対策を強化、不適正取引にメス

燃料高騰対策、「2024年問題」見据え

関係省庁による「荷主対策」が加速している。ドライバー職に罰則付きの時間外労働規制が適用される「2024年問題」が2年後に迫る中、足元では燃料費の高騰と価格転嫁の遅れが、トラック運送事業者の経営の重しとなる。国土交通省、公正取引委員会、さらには厚生労働省も加わり、トラック運送事業者の違反を助長する行為や、不適正な取引の情報収集体制を整備し、監視体制を強めている

国交省は「目安箱」設置、直接コンタクトも

先陣を切って取り組む国交省は、改正貨物自動車運送事業法に基づき、荷主勧告制度を拡充。トラック運送事業者の法令違反の原因となるおそれのある行為(違反原因行為)をしている疑いのある荷主に対し、おそれのある段階から法令違反が起きないよう荷主に働きかけることが可能になった。荷主の違反原因行為が疑われる相当な理由がある場合、改善を行うよう荷主に要請。なお改善がみられない場合は、改善勧告を行った上で企業名を公表する。「働きかけ」から「要請」「勧告」までの各段階で、独占禁止法に違反する疑いがあれば、公正取引委員会と情報を共有し、公取委が荷主への調査が行えるようにした。荷主対策の入り口となるのが、HPに設置した「輸送実態把握のための意見等の募集窓口」、いわゆる「目安箱」だ。毎年、100件前後の情報が寄せられている。昨年11月には燃油価格高騰に伴う燃料サーチャージや運賃交渉に応じない荷主に関する相談窓口を本省と地方運輸局・運輸支局など全国64ヵ所に相談窓口も設けた。国交省は「目安箱」などに寄せられた情報を精査したうえで、何らかの違反原因行為の疑いのある事例の荷主(真荷主および元請け事業者)に対し、本省の自動車局貨物課が直接電話や文書によって改善への配慮を行うよう働きかけている。本省が直接コンタクトをとることからも、荷主対策の本気度がうかがえる。国交省関係者によると、直接働きかけを受けた60件すべての荷主(真荷主・元請け事業者)が改善する意思を表明し、改善報告書を提出または作成中。「(業界団体経由ではなく)国交省本省が直接働きかけを行っていることを荷主は重みをもって受け止めているようだ」とし、一定の手ごたえを得ているようだ。

「重点立入業種」に指定、厚労省版「目安箱」も

トラック運送事業者への監視を強めているのが公取委だ。昨年10月以降に実施した調査をもとに、独占禁止法上の問題につながるおそれのある荷主641者に注意喚起文書を送付し、物流事業者との取引で問題のあることが疑われる荷主19者に立ち入り調査を実施。トラック運送関係も含めて「問題につながる事例」も公表した。具体的には、「10時間以上の待機をさせたが、待機料金を支払わなかった」ケースや不当な「買いたたき」、料金の据え置きなどが挙げられている。公取委では、関係省庁からの情報提供の結果などを踏まえ、重点立入調査の対象とする業種として「道路貨物運送業」を指定し、価格転嫁の状況をモニタリングしていく構えだ。ドライバーの時短に取り組む厚労省では、厚労省版の「目安箱」を設置することを決めた。HPの情報提供窓口に寄せられた情報をもとに、ドライバーの長時間労働の要因となる指示などを行った発着荷主に対し、労働基準監督署が改善を働きかける新制度をつくる。情報は労基署が活用するだけでなく、国交省に対しても提供するという。

カーゴニュース7月12日号

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