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物流業界ニュース(物流/運送情報)

通関業法改正から5年、新制度が浸透

立て替え払いにも行政の関心強まる

2017年10月8日、輸出入申告官署の自由化の実施とともに、50年ぶりに通関業法が改正されてから、5年が経過した。この“規制緩和”によって通関業の営業区域制限が廃止され、通関手続きは柔軟化。通関士の在宅勤務も可能となった。コロナ禍を経て事業環境が変わる中、昨今は通関業者による関税・消費税の立て替え払いについて行政の関心が強まるなど、積年の課題解決に向けた兆しも見えつつある。

柔軟な申告、通関営業所の集約進む

法改正により、セキュリティとコンプライアンスに優れていると税関に認められたAEO通関業者は、貨物の蔵置場所や通関営業所の所在に制約されない通関手続きが行えるようになり、柔軟に申告先を変更・集約できるようになったほか、人員配置の効率化を図るため、通関営業所の集約・統合も可能になった。東京通関業会が今年6〜7月にかけて行ったアンケートによると、「AEO通関業者で輸出入申告官署の自由化の制度を利用している」割合は95.7%。通関営業所の管轄税関以外の蔵置官署に対する申告についても76.0%が利用していた。通関営業所を「集約している」も43.2%にのぼり、新制度が浸透していることがうかがえる。

通関業務の在宅勤務、導入は半数

通関業務の在宅勤務は17年10月8日の通関業法基本通達改正によって可能になったが、台風などの災害の経験を経て、新型コロナウイルス感染症によって利用が拡大した。同アンケートでは、現状、通関士および通関業務従業者の在宅勤務について「導入している」は48.6%で、事業継続対策も念頭に約半数が導入している。導入していない理由としては、「通関業務が在宅勤務に適していない」が82.7%と圧倒的。このほかにも「セキュリティの確保が困難」、「社内のコミュニケーションがとりにくい」、「顧客や営業部門との連絡などとりにくい」といったことがハードルとなっているようだ。

公取委が通関業者の立て替え払いを調査

ここへ来て変化がみられるのが、通関業者による関税・消費税の立て替え払い問題だ。公正取引委員会は5月、関税・消費税を荷主が直接支払わず、物流事業者に対し、立て替え払いをさせた事案について、荷主による「不当な経済上の利益の提供要請」の事例との考え方を示した。従来、立て替え払いは「民間と民間の契約の問題」とされてきたが、物流業者との取引における「問題につながるおそれのある事例」と位置付けられた。9月に公取委が発送した、独占禁止法に基づく物流特殊指定の遵守状況を調べる調査票では、通関業者の立て替え払いに関する設問が初めて盛り込まれ、通関業界が長年課題としてきた商習慣に対し、行政の監視と改善への後押しが進みつつある。

RCEP、活用進むも通関現場に負担

この5年間では我が国との諸外国のEPA(経済連携協定)も進展した。我が国EPA等の現状は発行済が20、署名済が1となっている。中でも、日本と中国、韓国など15ヵ国が参加するRCEP(東アジア地域包括的経済連携)は、日本の貿易額の約5割を占める地域がカバーされる大型協定で、22年1月に発効した。大阪通関業会が1月から2月末に行ったアンケートによると、92%がRCEPを「活用」と回答するなど利用が進んでいる。ただ、申告書の作成時間が長くなったとの回答が99%に達し、従来よりも残業時間が増えていることも報告され、荷主への理解を求める声もあがっているという。

カーゴニュース10月4日号

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