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物流業界ニュース(物流/運送情報)

財務省関税局・税関 経済安保確保へ不正輸出の監視を強化

通関業者などに情報提供呼びかけ

財務省関税局・税関は経済安全保障への対応として、軍事転用のおそれのある製品や技術等の流出につながる不正輸出を防止するための監視体制を強化する。専門組織を立ち上げ、不正輸出に関する情報の収集を促進・集約し、通関業者など民間事業者にも情報提供を呼び掛ける。外国為替及び外国貿易法(外為法)で規制対象となっている貨物を不正に輸出すると、処罰や行政処分を受けることなり、それによって受ける社会的制裁は極めて大きい。輸出手続きを代行する通関業者も貨物の内容や最終仕向地、用途などに対する感度を高めることが求められる。

軍事転用リスク製品・技術の流出阻止

安全保障の裾野が経済・技術分野に急速に拡大するとともに、コロナ禍によりサプライチェーン上の脆弱性が国民の生命や生活を脅かすリスクが明らかになる中、経済安全保障上の脅威への対処が重要な課題となっている。昨年5月には経済安全保障推進法が公布され、同6月には「経済財政運営と改革の基本方針2022」が閣議決定された。基本方針では、国家安全保障局を司令塔とした、関係府省庁を含めた経済安全保障推進体制を強化するとともに、インテリジェンス能力を強化するため、情報の収集・分析等に必要な体制を整備することとされた。こうした政府全体の方針を踏まえ、関税局・税関では輸出の適正化を徹底するため、情報収集の強化等の取り組みを進めている。具体的には、「軍事転用のおそれのある製品や技術」等の流出につながる不正輸出の防止を念頭に、外為法の枠組みのもとで各種取り組みを進める。対象となる貨物の輸出申告があった際、厳格な審査および必要な検査を行い、外為法で必要とされる手続き(経済産業大臣による許可の取得など)が適切に履行されていることを確認する。輸出貨物の申告の適正性を確認するため、輸出者に対する事後調査を実施。経済産業省による20年度の外為法違反事案分析によれば、外為法違反発覚の端緒分類別割合では、税関の事後調査を端緒に発覚した事案は29%あった。技術の流出や軍事転用のおそれのある製品等の流出につながる不正輸出を防止するための情報収集・分析のほか、悪質事案については犯則調査も行う。

輸出申告の審査で入手する情報を拡充

不正輸出に関する情報の収集を促進して集約し、情報分析を強化するため、「経済安全保障情報分析センター」(仮称)を組織する。また、税関では、通関業者など民間事業者からの規制対象物品に関する相談を受け付けることに加えて、経済安全保障の観点から疑義のある取引について、情報提供を依頼。併せて、輸出申告の審査の際に入手する情報を拡充する。安全保障貿易管理を巡っては、米ソ冷戦期には対共産圏輸出統制委員会(COCOM=ココム)により西側諸国から東側諸国への厳しい輸出管理規制が行われていた。冷戦終結後は世界貿易機関(WTO)協定に基づく自由貿易が発展したが、昨今、地政学リスクの高まりや経済安全保障上の脅威から、潮目が変わりつつある。また、税関では、国民生活の安全・安心を脅かす麻薬・覚醒剤等の不正薬物、銃器等や健全な経済発展を損なう知的財産侵害物品の水際対策、関税の適正徴収といった「輸入の適正化」に加え、政府の経済安全保障強化の方針を受け、「輸出の適正化」へのリソースを増やそうとしており、これもある種の転機と言える。外為法違反による不正輸出により罰せられると、企業の社会的イメージを大きく毀損する。財務省関税局では、「輸出を行う際、貨物の最終仕向地や用途についてしっかり確認し、疑義のある場合には税関や経産省に相談いただくなど、適正な手続きの徹底に努めていただきたい」(調査課)と注意を喚起している。

カーゴニュース1月24日号

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