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物流業界ニュース(物流/運送情報)

国交省 ホクレンなどから意見聴取 第3回鉄道物流のあり方検討会

「鉄道物流のあり方検討会」第3回会合

国土交通省は19日、鉄道貨物の輸送量拡大やJR貨物の業績向上の支援策などを検討する「今後の鉄道貨物物流のあり方に関する検討会」(座長=根本敏則・敬愛大学経済学部教授)の第3回会合を開催した。今回は貨物鉄道の利用者である荷主から意見聴取を行い、ホクレン農業協同組合連合会、F―LINE、日本オイルターミナル、日本石油、ENEOS、防衛省が鉄道利用の現状などを報告した。

運休時に「わかりやすい情報開示」必要

ホクレンからは代表理事常務の今成貴人氏が出席。ホクレンが取り扱う農産品の北海道から本州や九州への輸送と本州から北海道への農産品の輸送において貨物鉄道が重要な役割を担っていると強調。現在の主な輸送モードは、フェリー・RORO船利用が53%と半数超で、鉄道利用が28%、不定期船利用が17%となっており、貨物鉄道が約3割と大きな部分を占めている現状を報告。その上で、各輸送モードの利用構成は長年の農産物輸送で形作られてきたもので、現状では最適のバランスだと説明した。F―LINEからはマルチモーダルセンター長の和田信幸氏が報告。和田氏は安定的なサプライチェーンを維持するためトラック輸送に加え、鉄道輸送や船舶輸送などを実施することで主要輸送ルートの複々線化を図っている取り組みを紹介。2024年4月以降の時間外労働規制の厳格化に伴いドライバー不足に拍車がかかることを想定し、500キロメートル未満の中距離でも鉄道輸送にシフトしていく方向で取り組みを検討していると説明した。また、鉄道利用の拡大に向けては、リードタイムの延長が重要だとし、加工食品業界での理解を促進していくとした。一方で鉄道利用には課題があると述べ、悪天候などにより発生した運休について開示情報が利用者にとってわかりやすいものではなく、迅速な代行輸送の手配を行いにくいと指摘。ユーザー視点から明快な情報提供の仕組みを求めた。加えて、取扱量を増やしていくためには貨物駅や貨物積み替え施設の拡充が不可欠だと要望した。

「水素」輸送でも貨物鉄道の活用を

石油輸送で鉄道を利用する事業者・荷主として日本オイルターミナル社長の牛島雅隆氏、日本石油輸送取締役専務執行役員の橋文弥氏、ENEOS水素事業推進部副部長の宮元英一氏が出席。内陸部への石油輸送はほぼ貨物鉄道に限られていることから、鉄道の寸断が重大な影響を及ぼすことを指摘。豪雨・豪雪など自然災害に強い鉄道輸送の実現が最重要だと強調した。その上で、災害耐久性のある鉄道ルートの整備や、不通・運休の際のルート変更後の運転を円滑に行える運転士の教育や養成が重要だと提言した。ENEOSの宮元氏は将来のエネルギー利用では水素が重要となることが想定され、その輸送ではローリー車やトレーラなどトラック利用だけでなく鉄道利用が増加することを視野に入れ、既存の石油輸送ルートを活用しながら水素輸送に取り組む考えを示した。防衛省からは防衛政策局運用政策課長の中野滋明氏が出席。近年、東アジアでの安全保障上のリスクが高まりつつある中で、定時・大量輸送を行える貨物鉄道の特性を活かした自衛隊車両や軍需品の輸送スキーム構築が課題として浮上してきたと説明。これまで輸送訓練として装甲車などの輸送などを実施しているが、今後は有事を想定した大型で重量のある軍用車両や弾薬の鉄道輸送を実施できる体制構築づくりを、JR貨物と連携しながら検討していくと述べた。

カーゴニュース5月24日号

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