第2章 移管・立ち上げ

- 職種
- 本社営業
- 所属部署
- ソリューション営業統括部 ソリューション営業部
継続案件の受託による売上拡大を目的に新規顧客開拓の担当者として、ミズタニ自転車との商談を推進。

- 職種
- 支社営業
- 所属部署
- 東京支社 新東京物流センター 営業第一課 課長補佐
顧客の窓口として、移管前倉庫の調査・分析、各部署との折衝、値段調整など、移管~立上までの管理を担当。

- 職種
- 支社営業
- 所属部署
- 東京支社 新東京物流センター 営業第一課 課長
運用推進者として、FKS(富士物流改善システム)とWMS(倉庫管理システム)を取り入れた運用を提案。移管~立上まで全体の管理を担当。
- ※当時の職種、所属部署を記載しています。
タイムリミットは7か月

ミズタニ自転車の繁忙期(4月~11月)を避けるため、8月の商談開始から移管・立上げまで7か月で完了する必要がありました。万が一、その期間での移管ができない場合、1年先送りになってしまうという、タイトなスケジュールの中での商談だったのです。

多くの場合、お客様を訪問してヒヤリングを行い、現場調査をした上で課題をあぶりだし、最善の提案を行って、移管となりますが、ここまでに約1年がかかります。また、段階的に社内の各部署と連携を取り、お客様サイドもいくつかの段階を踏んだタイミングで経営層に上申されるのが一般的です。けれども、このプロジェクトはタイトなスケジュールだったため、お客様の経営層や、当社の関係するすべての部署と、はじめから顔をあわせてミーティングを重ね、連携を図ることになりました。

お客様にとって決断は勇気がいること。最初は今年度の移管を決めかねているようにも見えました。「短期間での移管を本当に実施するべきなのか」、最後の最後まで迷われていたのではないかと思います。時期の縛りがあったので、動き始めてからも、すべてスピーディーに進めなければなりませんでした。

そんな中、営業としてはとにかく、いい人間関係をつくることを心がけていました。お客様の疑問や不安を解決するためには些細なことでも訪問し、面と向かって話をしてコミュニケーションをとり、富士物流を信頼していただけるよう努力をしました。お客様が「よし」といってくれるまでは、「1年後に延びてしまうかも」という不安がありましたが、関係部署が一丸となって取り組んでいたので、「何が何でもお客様のパートナーの座を勝ち取るぞ」という強い気持ちがありました。
トラブルを乗り越えて

移管が決まり、いよいよ実施にむけての準備がスタート。移管作業は特に重要で、いくら良い提案をしたとしても、立上げが1日でも遅れると、信頼は大きく損なわれてしまいます。さらに、お客様は機会を損失し、納品先からの信用を失ってしまうことになるのです。

短期間での移管なので、できる限りリスクを回避し、作業をスムーズに進めなければなりません。そのためにはボトルネックになるところがどこなのかを考えることが大切。不測の事態がおこることも想定し、何度もミーティングを重ねましたが、かなり議論になりました。お客様の立場に立った営業的な考え方、受け入れる倉庫側からの業務的な考え方、いろんな違う視点から意見が出て、「ああ。なるほど、そういう問題も考えられるのか」ということに気づかされることもありました。

私としてはお客様の立場にたち、前業者の倉庫に入らせてもらい作業をするので、その倉庫会社さんとの関係性も大切にしなければならないと思っていました。前の倉庫は住宅街にあったため、できるだけ近隣に迷惑はかけないよう努めなければなりません。しかし、短期間にまとまった物量を移管するために「夜間にも荷物を運べるよう、何とか交渉できないか」など、社内(受け入れる倉庫側)からの要望もあり、お客様・前業者・社内の調整には苦労しました。

前業者の倉庫からの搬出がボトルネックだと感じました。近隣にできるだけ迷惑をかけないよう、フォークリフト、キャスター付きのメッシュボックスパレットなどを用い、極力、車両の滞りがないようスピーディーな搬出を行いました。一方、受け入れるのはわれわれの倉庫なので、効率よりも品質を優先に考えました。ある程度の滞りは承知の上で、入念な品目・数量のチェックを行ったのです。社内の一部の作業員からは工数の多さに批判の声もあがりましたが、結果、移管完了後すぐに出荷体制を取ることができました。

予想外のトラブルもありました。ギリギリのスケジュールの中、倉庫に設置する棚の搬入日に想定外の大雪が降り、棚を輸送する車が足止めされてしまったのです。

作業員はみんなそろっていて、棚を待っているのに、輸送車はまったく来ない。棚を組んでからレイアウトを組まなければならないため、2日間何もできず、正直、生きた心地がしませんでした。

残り1週間は緊迫した雰囲気の中、日夜、作業を行いました。納期が決まっていたので、「それまでに絶対にやらなければならない」という気持ちだけが、身体を動かしていましたね。