建設業で「適正工期」確保へ自主ルール

トラック運送業の働き方改革にも参考に

トラック運送業と同様、2024年4月から厳格化された時間外労働の上限規制が適用される建設業で、「働き方改革」を推し進めるため、業界団体が主導して「適正工期」の確保に向けた見積もり時の自主ルールを打ち出した。トラック運送業でも「適正なリードタイム」の確保はドライバーの働き方改革に有効とされ、人手不足や多層構造など建設業とトラック運送業は業界構造に類似点が多く、建設業の新たな取り組みが注目される。建設業では24年4月から、年間の時間外労働は月間上限45時間、年間上限360時間(労使間の合意がある場合は720時間)に規制される。しかし、日本建設業連合会が21年度の会員企業の状況を調査したところ、原則の上限規制の達成状況は約4割、特例の上限規制達成が約7割と十分な進捗が図られているとはいえない。総労働時間の抑制のためには、週休2日工事(4週8閉所)が確保されることが重要だが、工事国や地方公共団体の発注工事では、週休2日工事を前提とした工期や費用を確保した発注が増加しているのに対し、民間発注工事においては工期や費用は契約手続きの中で決定され、週休2日工事の普及が遅れている。時間外労働上限規制への対応に万全を期すため、日建連は「適正工期確保宣言」を7月21日に行った。会員企業は、労働基準法に則り適正に工事を進めるため、発注者に見積書を提出する際に、工事現場の4週8閉所、週40時間稼働を原則とした適切な工期に基づき見積りを行い、工期・工程を添付して発注者の理解を得るための説明を徹底するとした。また、協力会社から真に適切な工期を前提とした見積りがなされた場合には、当該見積および工期・工程を確認した上でこれを尊重することとする。なお、日建連では会員各社の「『適正工期』確保宣言」の取り組み状況を毎年フォローアップ・公表し、取り組みの徹底を図るという。ワークスモバイルジャパンが、建設現場で働く施工管理者、作業員計1031人を調査したところ、残業規制について「わからない・聞いたことがない」という建設業従事者は6割を占め、「特に対応していない」という建設事業者は約7割にのぼるなど対応が進んでいない。

カーゴニュース 08月08日号

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