国交省 標準的な運賃、平均8%引き上げ

下請手数料10%を運賃とは別建に

国土交通省は15日、トラック運送業の「標準的な運賃」と「標準運送約款」の改正案を公表した。標準的な運賃は来年1月に開催する運輸審議会への諮問を経て改正し、告示する。標準運送約款はパブリックコメントの後、できるだけ早期に改正を行う。標準的な運賃は、燃料費の高騰分や高速道路料金などコスト上昇分を適正に転嫁できるよう平均約8%の水準で引き上げることとした。また、荷待ち・荷役など輸送以外のサービス料金について標準的な水準を設定し、運賃と別建てでの収受を後押しする。加えて、下請け事業者に支払う手数料について、運賃の10%を運賃とは別に収受するよう規定する。距離制運賃については、平均して小型車が6.8%、中型車が6.5%、大型車が9.0%、トレーラが12.3%上昇。時間制運賃では、平均して小型車が5・2%、中型車が5.4%、大型車が7.6%、トレーラが10.2%上昇する。運賃の算出基準となる燃料費は直近の燃料価格を参照し、1?当たり120円とした。その上で、燃料サーチャージの基準価格を120円/?に設定した。

2時間超の待機・荷役料は「5割増」

車格ごとに規定する30分ごとの「待機時間料」は、足下の市場動向を反映し、小型車が1670円、中型車が1760円、大型車が1890円、トレーラが2220円とする。これまで規定していなかった「積込料・取卸料」も新たに規定する。30分ごとの単価は、中型車で機械荷役の場合2180円、中型車で手荷役の場合2100円とした。荷役作業が2時間を超える場合は割増を設ける。割増率は労働基準法に基づく月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が5割以上であることを参考に「5割」とする。輸送以外のサービスの対価を運賃とは別に収受することや、料金の計算方法は通達で示し、荷役を行った際は対価を収受することを標準運送約款にも明記する。なお、荷待ちや荷役を行った際の対価を転嫁する場合、倉庫事業者ではなく、適切に荷主に転嫁するよう留意すべきだとした。有料道路利用料についても収受すべき実費として明確化する。現行の標準的な運賃告示では、請求すべきと費用のひとつとして例示しているのみだが、新たに「有料道路利用料」と個別に明記し、収受しやすくする。標準運送約款と併せて新たに示す「運送申込書/引受書」のひな型にも有料道路利用料を明記する

傭車1回ごとに別建てで「手数料10%」

運送業界の多重下請構造の是正を図るため、下請け事業者に発注する際の利用運送手数料を設定する。元請事業者は荷主から収受した運賃から傭車に係る費用を差し引いて下請事業者に再委託することから、実運送事業者が適正運賃を収受できないおそれがある。そこで傭車を行う際の「利用運送手数料」(下請け手数料)を運賃とは別に収受できるよう定める。手数料は運賃の10%とする。併せて、手数料は1回の傭車にあたり収受する金額の水準とし、複数回傭車する場合はその回数分を運賃とは別建てで収受する仕組みとする。下請け手数料は運賃とは別に上乗せして荷主に請求できるよう標準運送約款にも明記する。共同輸配送を行う際の積載率の向上を促すため、貸切運賃だけでなく、個建運賃を定める。個建運賃の設定では、積載できる最大の貨物の個数・重量と事業者が定める基準積載率を用いて算定する。荷主にとっては貸切運賃よりも安価に運送を依頼でき、事業者はトラック1台あたり収受できる運賃が増加することになる。積載率が向上すればドライバーや車両の省力化につなげる。 そのほか、通常想定される配達予定日時よりも早く配達を希望した場合は2割程度の割増を設定する。また、実費の発生する有料道路の利用が認められず、運転が長時間化することを考慮した場合、2割以上の割増を設定する。

冷凍・冷蔵車以外も告示で割増率を示す

現行の標準的な運賃告示では、冷凍・冷蔵車の運賃は2割増と明記している。これに加え、海上コンテナ輸送車、ダンプ車、セメントバルク車、コンクリートミキサー車、タンク車(石油製品輸送、化成品輸送、高圧ガスなど)の割増についても告示上で割増率を示す。割増率は、海コン車はトレーラの4割、セメントバルク車は大型車またはトレーラの2割、ダンプ車は大型車の2割、コンクリートミキサー車は大型車の2割とする。タンク車は運搬する製品によって分け、石油製品は大型車またはトレーラの3割、化成品は同4割、高圧ガスは同5割以上とする。

カーゴニュース 12月21日号

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