国交省物流革新♀ヨ連法で軽貨物事故対策を強化

輸送安全規則を見直し、規制措置を新設

政府が今月13日に閣議決定した物流革新関連の改正法案には軽貨物運送(軽トラック)事業者に対する規制的措置も含まれた。交通事故防止策として、(1)安全管理者の選定と管理者の定期講習受講(2)事故について国への報告――を義務付けるほか、国による輸送確保の命令や行政処分の情報を国交省HPで公表する内容だ。法改正と合わせて行う規制とともに、国土交通省は「貨物自動車運送事業輸送安全規則」の一部を見直し、さらなる規制強化を行うことがわかった。具体的には、軽トラックドライバーに適性診断の受診を義務付けるとともに、業務記録と事故記録の保存を義務付ける。

軽トラック事故急増、政府が対策に乗り出す

EC市場の拡大に伴う宅配貨物量の急増などにより、軽トラック運送市場への参入事業者は増加傾向にある。一方で安全法令に関する知識が不十分な事業者も増え、軽トラックが当事者となった交通事故件数は右肩上がりの状況が続く。こうした動きを受け、政府は昨年6月に策定した「物流革新に向けた政策パッケージ」の中で、軽トラック運送の事故防止や働き方改革を進める観点から規制的措置を新設する方針を示した。現在、衆議院で審議中の物流革新に向けた改正法案は、貨物自動車運送事業法(トラック法)と物流総合効率化法の一部を改正するもので、軽トラック運送業に対する安全対策の強化も改正内容に含めている。法改正による新制度として「貨物軽自動車安全管理者(仮称)」を設置する。軽トラック事業者は営業所ごとに「安全管理者」を選任し、選任の際には管理者講習の受講を義務付ける。安全管理者には2年ごとの定期講習を義務化し、個人事業主の場合は事業主本人が「安全管理者」を兼ねる。従来、軽トラックには国への事故報告が課せられていなかったが、死傷者発生事故など一定規模以上の事故の場合、事故報告を運輸支局や運輸局に届け出るよう義務化する。国による輸送の安全情報の公表も実施する。事業者に発出した輸送の安全確保命令や、実施した行政処分などの情報を国交省のHP上で公表する。事業者名の公表や、自動車の使用停止など処分内容を公表し、事故発生の抑止を図る

輸送安全規則を見直し、一般トラック並みの規制に

国交省は改正法の成立と合わせ、貨物自動車運送事業輸送安全規則の見直しを行う。これまで一般トラックのドライバーに義務付けていた適性診断の受診を軽貨物にも課す。業務開始にあたり受診する「初任診断」をはじめ、65歳以上の運転者が3年ごとに受診する「適齢診断」や事故を起こした場合に受診する「特定診断」を義務化する。現在、適正診断を実施している認定機関は全国で約130機関となっている。なお、適用にあたってバイク便事業者は除くこととしている。業務記録および事故記録の保存について、一般トラック同等に義務化する。毎日の業務開始・終了地点や業務に従事した距離などを記載した業務記録を作成し、1年間の保存を義務付ける。事故が発生した場合、その概要や事故原因、再発防止対策を記録し、3年間の保存を義務付けることとしている。

カーゴニュース 2月22日号

Powered by Cargo NEWS