国交省4割の事業者が「荷主の理解」得る

国交省4割の事業者が「荷主の理解」得る

標準的な運賃の実態調査結果

国土交通省は12日、2020年4月に告示したトラックの「標準的な運賃」の活用状況について事業者と荷主を対象としたアンケート調査の結果を公表した。それによると告示翌年の21年度は、運賃交渉を行い荷主から一定の理解を得られた事業者は全体の約15%だったが、翌22年度には全体の約43%に上昇した。また、標準的な運賃の告示制度は24年3月末までの時限措置となっていることについて、回答した事業者の約76%が制度の延長を希望していた。

一定の成果≠セが継続して周知が必要

国交省の担当者は「告示翌年の21年度に運賃交渉について荷主の理解を得られた事業者は約15%だったが、3年目の22年度には約43%と約3倍増となったことは一定の成果」との見方を示した。その上で、標準的な運賃を活用して運賃交渉を行い一定の理解を得られた事業者数が半分以下にとどまっていることについて「成果としては道半ば≠セ」と評価。今後も事業者への周知と荷主の理解を求める取り組みを継続していく考えを示した。調査はWEBアンケート方式で実施。対象とした事業者は全日本トラック協会の会員事業者5万1657者。回収率は8.5%だった。荷主は「ホワイト物流」推進運動に賛同した企業とし、調査票486票を配布し回収率30.9%だった。21年度は、運賃交渉を実施した事業者は約52%と半数を超えていたものの、このうち荷主から一定の理解が得られた事業者が約33%となり、事業者全体からすると、運賃交渉で荷主から一定の理解を得られた事業者は約15%と2割に満たなかった。22年度は、運賃交渉を行ったトラック事業者は約69%と増加し、このうち荷主から一定の理解を得られた事業者は約63%だった。事業者全体からみると運賃交渉について荷主から一定の理解を得られた事業者は約43%となり、前年度対比28pt上昇となり、約3倍に増加した。

76%が延長希望、「交渉に活用しやすい」の声も

標準的な運賃の告示制度について、延長を希望する回答は全体(4401回答)の76%に上り「希望しない」の24%をはるかに上回った。延長希望する事業者からは「荷主との交渉に活用しやすい」(2564件)、「運賃の下支えになる」(1517件)、「原価計算の参考となる」(1104件)、「自社の経営判断に活用できる」(780件)などの回答があった。そのほか「社内調整や荷主との良好な関係の継続など手探りで進めており、まだ時間が必要」「コロナ禍の影響で交渉ができなかった」などの意見もあった。一方、22年度の荷主の認知状況をみると、標準的な運賃の名称だけでなく「金額を知っている」「原価計算の方法を理解している」と回答した荷主は74%で、21年度と同数だった。事業者から新たな運賃を提示されたことのある荷主は61%で、全年度の31%を30pt上回っていた。提示された「新たな運賃を受け入れた」荷主は91%で、前年度の62%から29pt上昇した。徐々に標準的な運賃への理解が高まりつつある状況がうかがえる。

カーゴニュース 05月29日号

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