経産省、国交省、農水省「2024年問題」対策へ改善案を提示

経産省、国交省、農水省「2024年問題」対策へ改善案を提示

荷待ち・荷役は「原則2時間以内」に

経済産業省、国土交通省、農林水産省による第10回「持続可能な物流の実現に向けた検討会」(座長=根本敏則・敬愛大学教授)は19日、政府が6月上旬にまとめる「2024年問題」対策の政策パッケージの土台となる改善案を発表した。発着荷主と物流事業者に対し、トラックドライバーの労働環境是正と運送業の取引環境改善に向け、必須項目などを盛り込んだ。発着荷主に対しては、荷待ちと荷役の時間の削減を必須事項とした。荷待ち・荷役作業時間の「原則2時間以内ルール」を設けるほか、物流業務の実施を統括管理する役員レベルの担当者を置くことを義務化する方向。トラック事業者に対しては法令の基づきドライバーの労働時間を管理することや、国が定めた「標準的な運賃」を参照して荷主と運賃交渉を行うことを必須事項とした。

「2時間以内ルール」設定、「物流管理統括者」設置も

発着荷主は荷待ちと荷役作業に関する改善、物流管理統括者の選定、運送契約の適正化に取り組むこととした。荷待ち・荷役にかかる時間を原則として計2時間以内とする「原則2時間ルール」を設ける。すでに荷待ちや荷役作業にかかる時間が2時間以内となっている荷主は、目標時間を設定しつつ、さらなる時間短縮に努めるとした。また、物流の適正化・生産性向上の取り組みを総合的に実施するため、物流業務の実施を統括管理できる役員レベルの責任者(物流管理統括者)を選任するよう提言。物流管理統括者を役員レベルとしているが、これは物流部門の部長級責任者の場合、生産・営業など他部門に対して積極的な連携を働きかけることが難しいことによる。また、取引先や物流事業者から、荷待ち時間や運転者等の手作業での荷積み・荷卸しの削減、附帯業務の合理化等について要請があった場合は、真摯に協議に応じるとともに、自らも積極的に提案するなど、政府の「ホワイト物流」推進運動の趣旨と合わせた施策も加えた。

運送契約にない作業をさせないなど契約を明確化

運送契約は書面化した上で、運送契約にない運転以外の荷役をさせてはならないとした。元請運送業者や3PL業者に運送業務を委託している荷主は実運送事業者と直接運送契約を行ってはいないが、元請・3PL業者など取引先と実運送事業者の間の運送契約を確認し、運送契約にない荷役を行わせるときは取引先または運送会社に対して別途対価を支払うよう提示。運送契約では「運賃」と運送以外の役務の「料金」を別建てで契約することを原則とする。また、物流事業者から燃料サーチャージの導入について相談があった場合や、燃料費の上昇分を運賃・料金に反映することを求められた場合には協議に応じることとする。加えて、荷主は元請・3PLなど取引先に対し、下請に出す場合、運送契約を適正に行うことと、特段の事情なく多重下請による運送が発生しないよう留意するとした。発荷主に対する必須事項は、出荷時の順序や荷姿を想定した生産・荷造り等を行い、荷役時間を短縮することと、トラック運転者が適切に休憩を取りつつ運行することが可能となるような出荷予定時刻を設定することとした。着荷主の必須事項は、発注から納品までの納品リードタイムを十分に確保すべきとした。納品リードタイムを短くせざるを得ない特別な事情がある場合には、自ら輸送手段を確保する(引取物流)など突発的な発注に伴う物流負荷の軽減に取り組むこととした。同検討会は改善案に若干の修正を施した後、政府の「2024年問題」対策関係閣僚会議に提出。政府は自民党物流調査会がまとめた物流改善提言とも照らし合わせた上で、来月上旬に政策パッケージをまとめる。なお、今回の会合では来月とりまとめる最終報告書案についても議論を行った。法制化により荷主と元請事業者に対する規制的措置を設けることを確認した。

カーゴニュース 05月25日号

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