国交省 標準化で全体最適の実現へ

第3回官民物流標準化懇談会

国土交通省は6日、官民の物流関係者により物流の生産性向上や標準化を議論する「官民物流標準化懇談会」の第3回会合を開催した。物流事業者・物流関係団体・荷主団体・行政などが連携して物流改善を議論するため、2021年6月に初会合を開催し、以降年1回開催している。今回は同懇談会の傘下に設置した「パレット標準化推進分科会」と「モーダルシフト推進・標準化分科会」の検討内容を説明したほか、農産品流通での標準化に向けて農林水産省が策定したガイドラインに基づく実証実験や、加工食品・菓子・紙加工品など各業界での改善の取り組みの進捗を報告した。また、フィジカルインターネットの考えに基づいて業界別に行われている物流改善の取り組み状況や、物流プロセスで用いられるデータ・コードの標準化の取り組みの現状について情報共有を行った。報告を受け一部の委員からは「(物流改善の実効性を高めるには)着荷主の意識向上が必要となるが、現状では十分な認識に達していない」との声や、「個社を超えたサプライチェーンの効率化には(ソフト・ハード両面での)国の支援が必要だ」などの意見があった。

物流標準化は「待ったなし」=斉藤国交大臣

 開会に際して挨拶に立った斉藤鉄夫国交大臣は「物流は多くの課題を抱えているが、物流の停滞が懸念される『2024年問題』への対応が喫緊の課題だ」と強調し、「政府が6月に取りまとめた『物流革新に向けた政策パッケージ』に基づき、商慣行の見直し、物流効率化、荷主と消費者の行動変容の3つを柱とする抜本的かつ総合的な対策を進める。物流効率化や働き方改革を促進するには、待ったなしで物流標準化を進めなければならない」と訴えた。これを受け、オンラインで会議に参加した日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の大橋徹二会長は「業界やサプライチェーンの垣根を越えて物流とロジスティクスを効率化することが重要であり、輸送モジュールの標準化をはじめ、データフォーマットやドライバーの業務プロセスなどハード・ソフト両面の標準化が必要だ。製造業・流通業と物流企業が一体となり持続可能なロジスティクス・物流を実現する目的を共有し、物流標準化を推進しよう」と呼びかけた。続いて日本物流団体連合会(物流連)の真貝康一会長は「これまで日本の物流は荷主や社会のニーズに個別に対応してきたが、その裏返しとして標準化が立ち遅れている。個別最適の実現や個別サービスの提供が長年の商慣行となっている面もある」とし、労働環境改善の観点から「標準化を通じて物流現場より一層効率的かつスムーズにオペレーションができる環境に改善しなければ、担い手が集まらない。機械化・自動化の前提となるのが標準化だ。ただ、物流の標準化はこれまでも幾度となく唱えられていたが、多くのステークホルダーが関係する物流分野では進展に限界があった」と指摘。企業別に個別最適を求めるのではなく「全体最適の実現に向け、国を挙げての取り組みが重要だ。SDGsやカーボンニュートラルを実現するためにも製造・流通との連携を官民で構築すべきだ」と述べた。

カーゴニュース09月12日号

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