矢野経済研究所 22年度の宅食市場規模は2.5兆円

コロナ禍で急拡大、27年度は3兆円に迫る

矢野経済研究所(本社・東京都中野区、水越孝社長)はこのほど、食品宅配市場に関する調査結果を公表した。それによると、国内人口の減少と少子高齢化の進行により国内の食関連市場が縮小傾向にある中で、食品宅配市場は成長を持続し、20年度にはコロナ禍を背景に急成長。22年度の市場規模は事業者売上高ベースで、前年度比102.3%の2兆5363円となった。27年度には2兆9074億円まで市場が拡大すると見込んでいる。同調査は6月〜8月にかけて、食品宅配サービス企業、ファストフード・外食チェーン店運営企業、乳業メーカー、生協、小売業者などを対象に調査したもの。食品宅配市場は、少子高齢化や女性の社会進出の影響により重要性が増す中で、コロナ禍によって需要が急増し、20年度に市場が急拡大。その後の反動減が懸念されたものの、現在は「在宅配食サービス」「食材(惣菜)宅配」「宅配ピザ」「宅配寿司」「外食チェーン・ファストフード宅配」「牛乳宅配」「生協(個配)」「ネットスーパー」の主要8分野のうち、多くの業態で需要が高止まりしている。コロナ禍を契機に、食品宅配サービスは消費者の日常生活に定着した一方、商品やサービスの拡充により、異業種間だけでなく業態間の競争も激化傾向にあると分析した。21年度以降の成長率についてはコロナ禍以前の水準に戻っているとしつつ、今後の成長率では、22年度から27年度までのCAGR(年平均成長率)が2・8%になるなど、引き続き順調な推移を見込む。27年度における市場規模は、主要8分野の合計値で2兆9074億円に達すると予測している。なお、同調査では好調を維持している商品として、調理に必要な人数分の食材とレシピがセットになった「ミールキット(料理キット)」に注目。調理時間削減やコロナ禍を背景に需要が増え、現在は行動制限緩和による外出・外食機会の増加により成長率は落ち着きを見せているものの、22年度におけるミールキットの市場は1800億円を超えたと報告した。

カーゴニュース 10月3日号

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