東京通関業会/アンケート 関税等の立替払い、9割が荷主からの要請

荷主への申し入れは2割にとどまる

輸入者に納税義務がある関税・消費税について、通関業者の9割が立替払いを行っており、うち9割が荷主からの要請によることが、東京通関業会(曽根好貞会長)のアンケートでわかった。昨年来、優越的地位の濫用の観点から、公正取引委員会が立替払いの商慣習を問題視したことを受け、4割超の通関業者で立替払いが減少している一方で、立替依頼をしないように荷主へ申し入れができている通関業者は2割にとどまるなど、依然として立替払い解消に苦慮している実態がうかがえた。

9割が立替払いも昨年と比べ減少傾向

7月21日から8月19日にかけて、東京通関業会加盟店社283者(本社・営業所)を対象にアンケートを行い、回収率は56・2%だった。公取委が経済上の不利益の提供要請にあたる恐れがあると指摘した、関税・消費税の立替え払いについて聞いたところ、「立替払いをしている」との回答が90・6%にのぼった。全輸入申告件数に占める立替払いの割合は、「3割未満」が45・8%、「3割以上5割未満」が29・9%と多い。「7割以上」も13・9%あった。立替払いを行っている理由(複数回答)は、「荷主からの立替払いの要請」が94・4%だった。「他社も行っているため」(25・7%)、「貨物の早期引取りのためのサービスの一環」(19・4%)が続く。「その他」では、「荷主がリアルタイム口座や延納担保の取得に消極的」といった理由も挙げられた。立替払いの減少傾向も見られた。昨年に比べ「立替払いが減少した」との回答は、一昨年4%、昨年25%、今年は46・5%に上昇した。一方で、今年は「変わらない」も同じ46・5%だった。全輸入申告件数に占める立替払いの割合についても、昨年の調査では「3割未満」は33%だったのが、今年は46%と13ptの増加となった。立替払いについては、85・5%が何らかの「対応をしている」と回答した。具体的には、輸入者に対する「リアルタイム方式・延納等の紹介」(91・9%)、「関税の前受の依頼」(55・9%)が多く挙げられ、「立替依頼をしないように依頼」(21・3%)は2割にとどまった。「手数料等の徴収」(11・8%)も1割だった。

AEOの95%が「申告官署の自由化」利用

アンケートではAEO通関業者(認定通関業者)の認定状況についても聞いた。「認定取得済」が63・5%、「認定取得に向けて取り組み中」が11・9%、「認定取得予定はない」は24・5%だった。AEO通関業者が利用している制度(複数回答)では、「申告官署の自由化」が95・0%と最多だった。自由化申告に係る税関への要望事項(複数回答)では、「税関をまたいだ貨物確認の手続きの簡素化」(70・3%)、「他省庁他法令業務も、税関と同様の自由化」(59・4%)、「マニュアル申告を申告官署自由化対象に追加」(51・5%)などが多い。「その他」では、カルネ申告の自由化、税関検査立会いの自由化(任意化)、申告区分の緩和などが挙がった。また、通関営業所の管轄税関以外の蔵置官署へ申告している割合は73・6%、通関営業所を集約している割合は44・0%だった。税関間、申告官署間を問わず取り扱いの不統一があるかを聞いたところ、54・1%が「ある」と回答。不統一の内容では「分類」が55・9%で最も多い回答だった。

在宅勤務、「導入」は44%で前年より減少

通関士または通関業務従業者の在宅勤務は、「導入している」が44・0%。昨年の在宅勤務実施店社49%から今年は44%と5pt減少した。導入していない理由(複数回答)では、「通関業務が在宅勤務に適していない」が61・8%、「セキュリティの確保・顧客や営業との連絡が取りづらい」が52・8%で多い回答だった。RCEP(地域的な包括的経済連携)等EPA(経済連携協定)に係る要望(複数回答)では、「原産地規則に係る非違事例の教示」、「税関相談事例の開示」がそれぞれ81・7%と多かった。その他の意見では、「TPPと同様の更正請求を可能としてほしい」、「各EPAと取り扱いの統一性」などが挙げられた。通関業務に取り入れているDX(複数回答)では、「オンライン会議・研修」(77・6%)、「通関書類の電子保存」(63・5%)が上位2位。ダイバーシティについては「すでに取り組んでいる」が34・6%だった。取り組み内容では、「女性の登用・活用」(92・7%)が最も多く、「外国籍人材の採用・登用・活用」も63・6%あった。

カーゴニュース10月12日号

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