消防庁 リチウム電池貯蔵規制の特例で意見募集

耐火構造、充電率、包装・梱包などで基準

消防庁は、危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(案)等について25日まで、意見を募集している。総務省令で定める危険物はリチウムイオン蓄電池により貯蔵される第2類または第4類とし、リチウムイオン蓄電池を貯蔵する屋内貯蔵所の位置、構造および設備の技術上の基準について、耐火構造や蓄電池の充電率や包装・梱包など一定の基準に適合するものについて特例を設けることなどを改正内容とするもので、12月27日の施行を予定している。リチウムイオン蓄電池は、その電解液が主に第4類の危険物に該当し、消防法上はガソリンや軽油と同じ分類の危険物となる。このため、一定数量以上を貯蔵する倉庫は、万が一火災が発生した場合にその被害を局限化することを目的として、軒高6m未満の平屋建てとし、床面積は1000平方メートルを超えないこと等の制限が設けられている。これらの制限について、国内のリチウムイオン蓄電池普及拡大の観点から欧米と同等の基準とするよう業界団体から要望が上がっている。その背景として、米国や欧州では、リチウムイオン蓄電池を保管する倉庫について、床面積等を制限する規制がなく、大型の倉庫が建設可能となっていることがある。そこで国内においても面積等の制限を撤廃し、大型の倉庫が建築できるようにすることについて、安全性の確保を前提に欧米と同等の規制とすることについて検討する必要があるとし、消防庁では2022年3月以降、「リチウムイオン蓄電池に係る火災予防上の安全対策に関する検討会」で見直しを検討してきた。省令改正案では、蓄電池により貯蔵される一定の危険物のみを貯蔵する屋内貯蔵所について、(1)各階の床を地盤面以上に設け、床面から上階の床の下面(上階のない場合には軒)までの高さを12m未満とする(2)壁、柱、床、梁を耐火構造とし、階段を不燃材料でつくるとともに、延焼のおそれのある外壁を出入口以外の開口部を有しない壁とする(3)2階以上の階の床には、原則、開口部を設けない(4)蓄電池の充電率は60%以下とする(5)蓄電池の貯蔵方法は、水が浸透する素材で包装し、または梱包すること等の基準に適合していること――といった基準に適合すれば、規制を合理化するための特例を定められるようにする。また、リチウムイオン蓄電池を貯蔵する屋内貯蔵所に係る消火設備の基準の特例として、「第二種スプリンクラー設備(開放型ヘッドを用いるものに限る)、第四種および第五種の消火設備を設置すること」、「第二種スプリンクラー設備の設置基準は、蓄電池の貯蔵方法に応じて定める基準に適合したものであること」という基準に適合すれば、特例を設けられるようにする。

カーゴニュース 10月12日号

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