国交省 海コン車両のCTゲート前待機は放置せず

「Gメン」による是正指導の対象に

繁忙期を迎えコンテナターミナル(CT)の混雑が予測される中、海上コンテナ輸送業者からは、CTゲート前の長時間待機に対する「行政的な指導」を求める声が高まってきた。国土交通省では物流・自動車局、港湾局ともに改正物流法の趣旨に沿って、CTでの“荷待ち”の削減に関係者が取り組む必要があるとの認識で一致しており、運用面でどう実効性を担保していくのか今後の制度設計の動向が注目される。

CTゲート前待機は「努力義務」の範囲外?

4月から時間外労働の上限規制が適用となり、新たな改善基準告示が施行されたことで、海コン業者からは労働時間ルールの違反を惹起するCTゲート前での長時間待機の解消を求める声が強まっている。ただ、CTでの待機は工場や倉庫での待機とは異なる事情があり、「荷待ち時間」に該当するか否か従来はあいまいだった。この問題をめぐっては、東京都トラック協会海上コンテナ専門部会が8月28日に開催した会合で、国交省関東運輸局の担当者から、港湾地区のCTで発生する海コン車両のゲート待機についても「荷待ち時間」に該当し、長時間待機が発生しているCTは改善への働きかけの対象となるとの見解が示された。ただ、1月5日までパブリックコメントを募集している改正物流法の運用を定める省令案にはCT前待機について言及はなく、港湾運送事業者においてCTゲート前待機の改善は改正物流法や省令案における「努力義務」の範囲外であるとの一部報道もあり、長時間待機が放置されるおそれがあると海コン業者は懸念を強めていた。

「荷待ち時間」に該当、「解説書」で扱う可能性

国交省物流・自動車局物流政策課の担当者は「改正物流法は荷主とすべての物流事業者に対し、トラック輸送の荷待ち・荷役作業時間の削減に取り組む努力義務を課している」としたうえで、省令案の「荷待ち時間」は「ドライバーが集荷・配達を行うべき場所またはその周辺の場所に到着した時刻から荷役などを開始した時刻までの時間」と説明する。 これを港湾に当てはめると、CTゲート前に到着し、荷役作業が開始されるまでの時間も「荷待ち時間」に含まれるとし、「CTゲート前で発生している荷待ち時間を放置しておいていいわけがない。荷待ち時間の削減を図ることに対しすべての関係者に責務があり、取り組まなければならない」と強調する。省令は個々の事例に対する法令の適用を具体的に記すことはできないため、1月に省令を定めた後に策定する「解説書」の中で詳しく事例を記載することになる。CTゲート前の長時間待機の発生について、「この問題だけに焦点を当てるかどうかは断言できないが、解説書の中で取り扱うべき項目だと認識している」と述べる。 港湾でトラックの待機時間削減に取り組むべき主体については、「(自治体など)港湾管理者が中心になるのか、あるいは別の形かは、港湾ごとに事情が異なる」と見る。たとえば、東京港では都が中心となって渋滞対策に取り組んでいるなど港湾ごとに様々なケースが想定されるため、「国が一律で定めるべきではない」との考えも示す。港湾局港湾経済課の担当者は、「(CT前待機時間の解消など)物流改善の取り組みは、港運事業者だけでなしうるとは考えていない。しかし、それは港運事業者にはCTでの物流改善の取り組みができないという意味ではない」と説明。省内の関係部署と連携し、改正物流法施行の「解説書」の中で具体的事例に触れることも示唆する。 行政が是正指導を行うことで物流改善を促すのが、国交省に設けられた「トラック・物流Gメン」制度だ。国交省本省の「トラック・物流Gメン」は、「CTで発生する長時間の荷待ちも、是正指導の対象になる」と明言。「本省と地方運輸局が同じ方針に基づき、荷待ち時間解消に向け、働きかけを行っていく」としている。             

カーゴニュース 12月26日号

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