財務省関税局 「税関中長期構想2030」を公表

越境EC対応では全小口貨物を検査

財務省関税局は6月23日、第二次税関行政中長期ビジョンとして「税関中長期構想2030」を公表した。国際物流関係では2030年までに、越境eコマースの拡大などによる航空貨物の急増に対応するため、大規模空港内の物流動線上ですべての小口貨物を徹底検査する、「航空貨物検査センター」を設立。海上コンテナ貨物のより迅速な通関と検査強化を図るため、コンテナターミナル等の物流動線上に大型]線検査装置を増配備し、AIによる検査を行う。また、より迅速で安全な通関・物流を目指すAEO(認定事業者)等との協力関係を強化し、国際物流全体のリスク管理を官民協働で行うとともに、そのためのインセンティブを強化する。 訪日外国人旅行者の大幅な増加や、越境EC拡大による少額輸入貨物の急増、経済安全保障の重要性の高まりなど、税関を取り巻く環境は大きく変化している。財務省関税局では、労働力人口の減少が予想されるなかで、こうした変化に的確に対応し、将来にわたり、国境を越える貨物を適切に管理していくためには、税関を次世代型の組織に変革することが不可欠との考えのもと、「税関中長期構想2030」を取りまとめた。越境eコマースの拡大等による航空貨物の急増に対し、現在の税関の検査設備や人員では、膨大な輸入貨物を限定して検査せざるを得ない状況で、不正薬物や健康を脅かす物品の流入阻止が難しくなりつつある。このため、全ての航空小口貨物を物流動線上で集中的に検査するため、大規模空港に「航空貨物検査センター」を設置し、オートメーションによる迅速な]線検査を実施。AI等を活用し、X線検査画像の解析やリスク分析を高度化し、厳重検査貨物の抽出を精緻化する。一定の要件を満たした信頼できるパートナー(AEO等)については、自社施設で]線検査を行う。国内外パートナーとの協働強化では、AEO等との国際物流全体のリスク管理への協働とインセンティブ拡充を図る。EC事業者や通関業者との連携による、急増する輸入貨物に対する適正課税の新たな基盤を整備。保税業者との連携強化によるシームレスな水際取締り、物流円滑化、経済活性化を実現する。このほか、日本通関業連合会が創設した「EPA関税認定アドバイザー」(通関士)への支援、国際標準策定への貢献と、戦略的な関税技術協力も行う。旅客では、航空旅客の円滑な入国と厳格な水際取締りの両立を実現するため、紙の申告を廃止し、有人検査台から電子申告ゲートへ移行。税関業務のあらゆる分野で、AI等先端技術を戦略的に活用するため、税関関連システムの最先端化を含むデジタル基盤の整備に取り組む。経済安全保障リスクへの対応では、インテリジェンス能力の高度化、水際の体制強化等を通じ、経済安全保障上のリスクに対する輸出時・出国時の取締りを強化する。持続可能な体制構築に向け、税関の職場の魅力向上も図る。深夜、早朝、土日祝を問わず勤務する当直勤務体制をスリム化。カプセルタイプの仮眠室、浴室設備の整備等の勤務環境改善を進める。また、処遇改善を図るため、「夜間特殊業務手当」の増額を要求する。

カーゴニュース 7月2日号

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