NX総研短観 夏以降の荷動きは悪化≠フ懸念も

トラック運賃の上昇圧力は強まる見通し

NX総研研究所(本社・東京都千代田区、廣島秀敏社長)は7月31日、「企業物流短期動向調査(NX総研短観、2023年6月調査分)の結果を発表した。国内の荷主企業の出荷量動向を示す「荷動き指数」をみると、23年7〜9月の荷動きの見通しはマイナス6となり、4〜6月実績のマイナス13から7pt上昇すると見込んだ。これについて同日会見を行ったNX総研シニアコンサルタントの佐藤信洋氏は、今回の調査は6月初旬時点のものだとした上で、「日銀が7月28日の会合で長期金利の変動幅を上限1%まで認めるとした。実質的には利上げにつながるといえる」と指摘。加えて、足元の素材・原料価格の高騰や電力費の高止まりなどネガティブな要素や、中国経済の先行きが不透明であること、ウクライナ紛争を抱える欧州の金融引き締めの動きなども含めると「下期の景気は悪化すると見込まれ、7〜9月の荷動きが上向くとする予想は楽観的だ。むしろ今後は下振れする可能性が大きい」と説明した。

7月以降の輸送機関利用は増えるのか?

業種別の荷動き指数は4〜6月実績は10業種でマイナスとなり7業種で低下したが、7〜9月見通しは9業種でマイナスだが12業種で上昇するとした。これについても調査時点の見通しであり、その後の景気動向を踏まえると「若干甘い見方」と言えそうだ。6輸送機関(一般トラック、特積みトラック、宅配便、鉄道コンテナ、内航コンテナ・RORO船、国内航空)の利用動向は、4〜6月実績・7〜9月見通しとも全機関で指数はマイナスながら、7〜9月見通しは全機関でマイナス幅が縮小すると予測した。多くの荷主が7〜9月には荷動きが若干ながら改善すると見込んでいるため。国際貨物の荷動きにも元気がみられない。外貿コンテナの輸出・輸入、国際航空の輸出・輸入の4機関の貨物量動向をみると、総じて低調な動きが続いており、国内以上に荷動きがよくないと見込んだ。とくに国際航空の落ち込みが目立ち、輸出は4〜6月実績がマイナス21、7〜9月見通しがマイナス20となり、輸入についても4〜6月実績がマイナス19、7〜9月見通しがマイナス19。外貿コンテナの7〜9月見通しは輸出がマイナス14、輸入がマイナス9なのと比べマイナス幅の大きさが目立つ。

運賃・料金はトラックの上昇幅が大きい

一般トラック、特積みトラック、鉄道コンテナ、内航コンテナ・RORO船、国内航空、倉庫保管料など6機関の運賃・料金水準は総じて高めで推移する見込み。4〜6月に対し7〜9月で上昇傾向が予想されるのは、一般トラック(5pt上昇)、特積みトラック(5pt上昇)、国内航空(3pt上昇)、倉庫保管料(2pt上昇)。横ばいが鉄道コンテナと内航海運・RORO船。「2024年問題」への対応を図る動きが進む一方、ドライバー不足の解消がみられないことから、トラック運賃の上昇圧力は一段と強まることが予想される。売上高に対する物流コストの割合は、さらに上昇する見込みだ。23年4〜6月実績の動向指数はプラス34となり、前期(1〜3月)実績より1pt上向き、7〜9月見通しはプラス37と前期比3pt上昇する見込み。

カーゴニュース 08月08日号

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