国交省/トラック取引適正化会議 価格転嫁促進へ、物流子会社とも認識共有
「実運送が報われる」環境づくりへ
国土交通省は22日、「トラック運送業に係る取引適正化会議」の第2回会合を開催した。今回は元請事業者に加え、荷主企業の物流子会社が参加。足元の燃料価格高騰によりトラック運送業は厳しい経営環境下にあることを背景に、運賃・料金での価格転嫁の促進と荷主・事業者間、元請・下請間での取引適正化が重要との認識を共有した。
「時限措置の延長実現を」=全ト協・坂本会長
昨年12月の初会合に続くもので、今回は元請事業者に加え、荷主企業の物流子会社が参加。適正な価格転嫁を図る各社の取り組みについて報告。日本郵便輸送、全農物流、アサヒロジ、F―LINE、大和物流、凸版物流、三菱電機ロジスティクスの7社が出席した。会議冒頭、挨拶に立った堀内丈太郎自動車局長は「厳しい経営環境におかれているトラック業界では、価格転嫁の促進が最重要課題だと認識している。関係省庁と連携しながら価格転嫁促進に全力で取り組んでいく」と意欲を語った。続いて全日本トラック協会の坂本克己会長が、「トラック運送の同志である大手と中小事業者がお互いに協力し、荷主から適正運賃をいただかなければならない。価格転嫁と運賃引き上げを実現し、実運送を担う事業者が報われる環境をつくっていこう」と呼びかけた。その上で、改正貨物自動車運送事業法の柱である「標準的な運賃」の告示制度と「荷主対策の深度化」について「いずれも24年3月末までの時限措置であり、取引適正化のためには両制度の延長が欠かせない」と述べ、議員立法による法改正を実現し、「24年4月以降も制度を存続させなければならない」と訴えた。
下請との適正取引実現へ、関係者全員に周知を
業界からは全日本トラック協会が適正取引実現への取り組みについて説明。馬渡雅敏副会長は「企業規模にかかわらず、ドライバーの労働環境を改善し、安心・安全に働ける職場にすることが重要」と強調。そのための取り組みとして、(1)荷待ちや荷役作業の無い労働環境への改善(2)「標準的な運賃」の考え方に基づく適正な運賃・料金の収受(3)燃料サーチャージの導入(4)安全対策と法令遵守の徹底に向けた事業者自らの積極的な取り組み――などを推進し、「荷主と事業者、そして元請と下請の間での適正取引を実現するため、荷主、物流子会社、行政など物流の関係者全員への周知を徹底すべき」と指摘した。物流子会社からは日本郵便輸送、全農物流、F―LINE、大和物流、三菱電機ロジスティクスが価格転嫁の取り組みを報告。そのほか佐川急便と福山通運も元請・下請間の取引改善を図る取り組みを発表した。
カーゴニュース 05月25日号