国交省新たな物流拠点≠フ構築目指す
「物流拠点の今後のあり方検討会」初会合
国土交通省は10月30日、営業倉庫、物流不動産、トラックターミナルなどの物流施設に関する政策を見直すため、「物流拠点の今後のあり方に関する検討会」を設置し初会合を開いた。物流の「2024年問題」や激甚化する災害等に対応し、物流の結節点としての役割を担う倉庫や物流不動産などの機能強化や整備促進に向け、方向性を打ち出すことが狙い。今後数回の会合を経て、来年3月に政策の方向性を示す報告書を取りまとめる。
物流環境の変化に対応した物流拠点へ
開会冒頭、国交省物流・自動車局長の鶴田浩久氏が挨拶に立ち、「物流拠点の役割は、物流の時間と空間のあり方に関わるもので、より良い関わり方を探ることが重要。物流の『2024年問題』に伴う中継輸送の拡大や、自動運転の導入など新技術に対応するとともに、自治体のまちづくりと連携した機能強化を図るべきだ」と強調。検討会では「地域全体の産業インフラでもある物流拠点へのニーズの変化、ストックの老朽化、物流拠点の役割や供給方法の多様化などの状況の変化も踏まえ、営業倉庫を含めた物流拠点に係る政策を提示する」と語った。
倉庫・物流不動産・トラックターミナルが会議に参加
検討会のメンバーには物流業界の関係者から、日本倉庫協会副会長の小野孝則氏、日本冷蔵倉庫協会相談役の西願廣行氏、不動産協会物流事業委員会WG座長(プロロジス開発部長)の村上隆志氏、全国トラックターミナル協会専務理事の川勝敏弘氏、全日本トラック協会副会長の馬渡雅敏氏、JR貨物執行役員鉄道ロジスティクス本部営業統括部長の高橋秀仁氏、日本政策投資銀行企業金融第3部次長の清水久美絵氏が参加。有識者委員として、流通経済大学流通情報学部教授の大島弘明氏、社会システムデザイン取締役主席研究員の岡田孝氏、立教大学経済学部教授の田島夏与氏、東京大学大学院工学系研究科教授の西成活裕氏、三菱UFJ信託銀行不動産コンサルティング部リサーチャーの牧坂亮佑氏、あずさ監査法人テクニカル・ディレクターの三宅美樹氏が出席した。行政からは、国交省の物流・自動車局、不動産・建設経済局、都市局、道路局、港湾局の各担当者と経済産業省、農林水産省の担当者が加わった。検討会の座長には流経大の大島教授が就任し、国交省物流・自動車局貨物流通事業課貨物流通経営戦略室が事務局となった。
営業倉庫の役割の見直しなども検討
今後の論点として、トラック輸送の中継拠点の役割を果たす物流拠点の建設・運営のあり方を検討するとともに、ダブル連結トラックや自動運転トラックに対応し、幹線輸送と地域での配送を円滑に連携する基幹的物流拠点の要件を図る。また、地域経済を支え、防災に資する観点から、自治体が物流拠点に求める役割や物流拠点の受け入れ体制を探る。加えて、既存の営業倉庫が果たす役割の見直しや、トラックターミナル、物流不動産など物流拠点の再構築に向けた課題を検証し、関係者間での連携の方向性や行政の支援策を検討する。
カーゴニュース11月5日号